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ストレスチェックから始める職場の活性化 / STRESCOPE
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近年、従業員の心身の健康を経営的な視点で捉える「健康経営」が注目を集めています。その中でも、職場におけるメンタルヘルス対策として導入が進むのが「ストレスチェック制度」です。ストレスチェックは、個人のストレス状態を把握するだけでなく、集団分析を通じて職場環境の課題を明らかにすることができるため、経営戦略としての健康施策と深く関係しています。単なる法令遵守にとどまらず、チェック結果をもとに組織改善に取り組むことで、生産性の向上や離職防止、ひいては企業の持続的成長にもつながるのです。
しかし実際には、ストレスチェックの集団分析結果を職場環境の改善にどう活かせばよいか分からない、という方も多いのではないでしょうか。
せっかく手間とコストをかけて実施したストレスチェックの効果を最大化するためには、集団分析の結果を実際の取り組みにつなげることが重要です。
本記事では職場の人間関係がもたらす組織への影響、その中でも特に「同僚からの支援を高めることが、健康経営にもたらす効果」に着目し、集団分析の結果「同僚の支援」が低いと判定された組織に対して、人事労務担当者が実施できる効果的な対策について、詳しくご解説します。
【ストレスチェック集団分析の関連記事はこちら】
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・ストレスチェックを健康経営に活かす!集団分析結果の活用方法~仕事の量的負担が高い職場編~
・ストレスチェックを健康経営に活かす!集団分析結果の活用方法~仕事のコントロールが低い職場編~
ストレスチェックは一般的に57項目の設問から成りますが、この設問は大きく分けると以下の3つ領域から成り立っています。
1.ストレスの原因と考えられる因子
2.ストレスによって起こる心身の反応
3.ストレス反応に影響を与える他の因子
同僚の支援はこのうち「3.ストレス反応に影響を与える他の因子」のなかの1つの尺度とされています。
同僚の支援に関する設問には、以下の3つの設問が該当します。
・職場の同僚は、あなたが困ったときにどのくらい頼りになりますか?
・職場の同僚は、あなたの話をどのくらいきいてくれますか?
・職場の同僚とは、どのくらい気軽に話ができますか?
この3つの設問に対し、それぞれ以下4つの選択肢の中から1つ回答します。
なお1つの選択肢に対し、それぞれ点数が以下の通り決められています。
・非常に…………1点
・かなり……2点
・多少……3点
・全くない…………4点
そこで、設問に対する3つのそれぞれの回答から決まった計算式(参考:厚生労働省ストレスチェックマニュアル)を用いて計算し、同僚による支援の程度を明らかにします。
ストレスチェックの集団分析では一般的に「仕事のストレス判定図」というものを用いて分析するため、仕事のストレス判定図を使用したとき、同僚の支援をどのように読み解くのかをご説明します。
仕事のストレス判定図には2種類があり、ひとつは仕事の量的負担と仕事のコントロールを要因としてプロットされる「量―コントロール判定図」<左>、もうひとつは、上司の支援と同僚の支援から作成される「職場の支援判定図」<右>です。
各要因から予測される疾病休業などのリスク【健康リスク】を、全国平均と比較します。判定図の斜め線が全国平均を示し、全国平均のリスク値は100とされています。例えば、ある部署のリスクが120の場合、その部署の健康問題のリスクは全国平均より20%高い、という解釈になります。
<仕事のストレス判定図の読み取り方>
A:左の「量ーコントロール判定図」においては、図の横軸が「仕事の量的負担」、縦軸が「仕事のコントロール」です。図の右側に行くほど量的負担が高く、図の下に行くほど仕事のコントロール(裁量)が低い、というように読み取れます。
B:右の「職場の支援判定図」では、左に行くほど上司の支援が低く、下に行くほど同僚の支援が低いと読み取れます。
右の図でみると、黒い ▲ は判定図の中央よりもやや下にあり、「上司の支援は平均的であるものの、同僚の支援が低いと感じている従業員が存在し、同僚の支援が低いことによるうつ病などのメンタル関連疾患を発症するリスクがある」ことが示唆されます。
ここで、職場の人間関係がどのような形で組織に影響を与えるのか、詳しくみていきましょう。
1920年代末から1930年代初頭にかけて行われたホーソン実験では、照度や作業時間などといった物理的な労働環境よりも、職場の人間関係や従業員同士のコミュニケーションが、労働生産性に強く影響することが明らかになっています。
さらに、海外の研究では社内コミュニケーションが良好なチームは生産性が20~25%向上し、効果的なコミュニケーション戦略を持つ企業は競合他社よりも業績で3.5倍上回るという結果も出ています。
過去の実験や研究結果からも、良好な人間関係が築かれている職場ほど、生産性が向上する傾向があると考えられます。
職場内での対人関係の問題が継続すると、心理的なストレス反応が慢性化し、うつ病などの精神疾患を引き起こすリスクが高まります。
労働政策研究・研修機構の調査によると、メンタルヘルス不調で1ヶ月以上休職した労働者や退職者のうち、その原因の58.4%が職場の人間関係であったことが明らかになっています。また、過去の研究結果では、様々なストレスの中でも特に人間関係のストレスが最も辛く感じやすく、ストレスが持続しやすいことも明らかになっています。また、海外では、職場の同僚により人間関係から排除されると、うつ病のリスクが1.7倍になるという研究結果も発表されています。
職場でのメンタル関連疾患の発症と関連が深いものとして、「NIOSHの職業性ストレスモデル」というものがあります。このモデルでは、同僚との関係を含む職場の人間関係は、メンタル不調の発症を防ぐための「緩衝要因」、つまりクッションのような役割を果たすとされています。つまり、同僚の支援が不足しているとクッションとしての役割が働かず、メンタル不調が起こりやすくなると考えられます。
メンタル不調が発生すると、休業者の発生や、休むまでに至らなくても、パフォーマンスが低下した状態で働く従業員が発生することで、組織の労働生産性低下にも繋がります。
このように、職場の人間関係は、組織の労働生産性に影響を与えることが分かっています。労働生産性を高めるためにも、集団分析の結果同僚の支援が低いと結果された場合は、会社として対策を検討する必要があります。
ここで、職場の人間関係の重要な要素である「同僚の支援」が低い組織に対して、会社としてできる対策について詳しくご説明します。
正しく状況を把握してこそ、適切に課題に対する打ち手を講じることができます。
そのため、集団分析の結果をきっかけに、従業員が職場の同僚からのサポートや人間関係についてどのように感じているのか、より詳しく調査を行う必要があります。
調査の方法は匿名式のアンケートを行うという形でも構いませんが、従業員の生の声に耳を傾けるという意味では、従業員との対話の時間を設けることも有効です。
会社の人事労務担当者として、より良い職場環境づくりを目的とすることを説明した上で、何人かのメンバーに直接話を聞いてみたり、組織の管理者に話を聞いてみるのも良いでしょう。
人事労務担当者が直接話をきくのはハードルが高いという場合は、衛生委員会など既存の組織を活用する方法もあります。
どのような形で追加の調査や分析を行うのか、上記の例を参考にしながら、会社の状況に応じて適切なものを選んでください。
【衛生委員会に関する関連する記事はこちら】
・衛生委員会の「設置・立ち上げガイド」実施するための事前準備を徹底解説(前編)
・衛生委員会の「設置・立ち上げガイド」衛生委員会の調査・審議事項を徹底解説(後編)
集団分析実施後の追加の調査で、同僚の支援が不足している要因を分析します。
同僚の支援が不足するのには様々な理由が考えられますが、実際には以下のような要因が理由として挙げられることが多いです。
同僚の支援が不足する要因の例
【仕事量や仕事の方法に起因するもの】
【人事制度や職場風土に関連するもの】
【物理的な要因に起因するもの】
上記のような要因に対し、会社としてできる具体的な対策について、事例を通じてご紹介します。
上記の要因に対する対策について、それぞれの要因に対応する解決策を考えるというのではく、課題に対して効果的な対策を検討することで、複数の問題点が改善される可能性があります。
まずは、コミュニケーションに関する対策です。
良好な人間関係を保つためには、従業員個人のソーシャルスキルやコミュニケーションスキルを身に着けていくことも有効だと考えられます。
しかし、従業員個人だけにコミュニケーションスキルの取得を任せるというのではなく、会社全体で従業員のコミュニケーションスキルや対人関係スキル向上のための施策を検討することで、従業員同士のコミュニケーションを大切にする職場風土の形成が期待できます。
■アサーティブコミュニケーションが重要
対人関係を円滑にするコミュニケーションスキルの一つに、アサーティブコミュニケーション、と呼ばれるものがあります。アサーティブコミュニケーションとは、自分の意見や気持ちを正直に、かつ相手を尊重しながら伝えるコミュニケーションの方法です。例えば、何か頼まれて断りたいとき、「無理です!」と強く言ったり、逆に「わかりました」と無理に引き受けてしまうのではなく、「すみません、その日は予定があるのでお引き受けできませんが、〇日なら大丈夫です」などと伝え、自分の意見や状況を伝えながらも、相手への配慮も欠かさないコミュニケーション技法です。
アサーティブ・コミュニケーションは、職場の対人トラブルの予防にもとても効果的です。
■アサーティブコミュニケーションを浸透させる
会社の研修の一環としてアサーティブコミュニケーションのロールプレイを取り入れた研修を導入したり、日常業務でも取るように呼び掛け合うことで、組織全体で、コミュニケーションスキルを向上させることができます。
仕事仲間からの支援が少ない職場では、従業員が一人で抱え込んでしまうリスクが高まります。コミュニケーションを通じて相手の状況や悩みに気づくことで、「助けていい・頼っていい」雰囲気をつくることができ、メンタル不調の予防にもつながります。そのため、コミュニケーションの機会を持つことも重要です。
新入社員や異動してきたばかりの社員にとっては、新しい環境への適応に大きなストレスがかかりやすいものです。だからこそ、管理職だけでなく、社員同士で支え合う仕組みづくりが効果的です。
■メンター制度の導入
メンター制度とは、先輩社員が、比較的経験の浅い後輩社員を支援・育成する制度のことです。新入社員や異動者、若手社員が組織に早く適応し、成長できるようサポートする仕組みとして、多くの企業で導入されています。例えば1〜2年先に入社した社員など、比較的立場が近い人がサポーターになると、相談しやすく、実効性が高まります。メンター制度の導入により、不安や悩みを気軽に相談できる環境が整い、孤立感が軽減するとともに、職場のコミュニケーションが活性化され、職場全体に風通しのよい雰囲気が生まれます。
このようにお互いに助け合う文化が根づくことで、「誰もが支援の担い手になれる」という前向きな職場環境づくりにもつながっていきます。
■1on1の活用
自分自身の役割が明確でないと、他者をサポートすることも難しいでしょう。まず最初に自身の役割を認識することで、助け合いが生まれやすくなります。
従業員の役割を明確にするための一つの方法として、管理職と従業員で1on1を実施する方法があります。1on1の中で、組織の中で期待される役割は何か、どのように力を発揮すべきなのか、従業員と管理職の双方向のコミュニケーションによって、目標を明確にすることができます。
1on1を取り入れている会社は多くありますが、残念ながら形骸化しているケースも見受けられます。メンバーが相互に協力し合えるためにも、従業員それぞれの役割の明確化を促進できるように、人事から1on1の目的や実施方法について、改めて発信を行うのも効果的です。
■定例ミーティングの実施
相互支援活性化のためには、他者がどの程度の仕事を抱えているのか把握することも、同様に大切です。
業務量が多くて普段からコミュニケーションをとる時間が持てない場合や、他メンバーの役割を適切に把握できず、他者が抱えているタスクが見えづらいといった場合は、チーム全員が集まって抱えている業務やその進捗を共有し合うための定例ミーティングを開催することも効果的です。
忙しいなかで時間を作るのは大変ですが、お互い抱えている業務量や進捗状況が見えないまま仕事をするよりも、定例ミーティングのなかで他メンバーの役割や仕事量が明らかになることで、協力し合うきっかけとなり、チームとしてスムーズに仕事を進められることがあります。
そのため、無理のない範囲で定例でミーティングを開催し、コミュニケーションも兼ねて、業務について話し合う機会を持ちましょう。
なお、仕事の量的負担が高く、従業員のストレスが高い場合の対策については、こちらの関連記事も参考にしてください。
さらに、部門を超えて社員同士がつながるための社内イベントの開催もおすすめです。
物理的な距離を縮め、コミュニケーションの機会をつくる
アメリカの社会学者ダン・アレンの研究によって、物理的な近接性がコミュニケーションの頻度に大きく影響することが示されています。これは一般的に「アレン曲線」として知られています(参考)。さらにダン・アレンの研究では、物理的な距離が近いと、メールや電話の頻度も高くなることが分かっています。
例えば職種によって勤務地が異なる場合や、同じオフィス内でもフロアが異なる場合は、物理的な距離のため、通常業務のなかではなかなかコミュニケーションがとれず、心理的な距離も縮まりにくい可能性が考えられます。
普段あまり対面でのコミュニケーションが少ないメンバーとかかわるためにも、イベントを定期的に開催することで、物理的な距離を縮め、以降業務上のコミュニケーションもとりやすく、協力しやすい雰囲気が形成されることが期待されます。
ランチイベントや運動と組み合わせた交流イベントも効果的
他社の事例では、異なる職種の社員5〜6人が集まりランチを楽しむイベントや、30分〜1時間程度のウォーキングを通じて交流する取り組みなどが行われています。イベントの内容や開催方法については、「これが正解」というものはありません。既存の仕組みも活用しながら、会社の風土に合ったイベントを企画してみてください。
在宅勤務は通勤時間がなくなるため、時間の有効活用という点ではとても便利です。ただその反面、オフィスで自然に交わされていたちょっとした声かけや雑談のようなコミュニケーションが減りがちです。表情や感情といった非言語の情報も伝わりにくくなるため、信頼関係の構築に時間がかかることもあります。
こうした背景から、勤務形態に関係なく、社内でコミュニケーションの機会をきちんと持てるようにすることが、今後ますます大切になってきます。
在宅勤務が多い会社では、気軽にチャットができるコミュニケーションツールの導入や、オンラインでのランチョンミーティングの開催、ミーティングの時は可能な限りカメラをONにする等の工夫も有効です。
また、対面でのコミュニケーションをとるためにも、月に1回全員で出社の機会を設けるように各部門に促すのも効果的です。
次に、人事制度や評価制度に関する対策です。
人事制度や評価制度はその職場風土に影響を与えます。評価制度は、「どんな行動が評価されるのか」を明確にします。たとえば、チームワークや協調性を重視した評価制度なら、自然と助け合いや協力を重んじる風土が醸成されます。一方、個人の成果だけが重視される制度では、競争的な雰囲気が強まる傾向があります。
人事制度を変更するのは簡単ではありません。しかし、個人の業績評価だけではなく、他メンバーへの声掛けやサポートする姿勢など、チーム内でのパフォーマンスを評価としたり、個人の成果だけでなく、組織やチームへの貢献度を評価に組み込むことで、従業員が互いに助け合えるような組織づくりにつなげることができます。
例えば組織やチームへの貢献度の評価指標には以下のような事例があります。
・他部門や同僚の業務を積極的にサポートしたか
・後輩や新人の育成に貢献したか
・チームの成果達成に向けた協力姿勢があったか
評価制度が変わることによって、チームメンバーの仕事の仕方も、協力的な方法に変化することが期待できます。大切なことは「評価されるために助け合う」という姿勢ではなく、「助け合ってこそ、個人やチームの成果が上がる」構造にすることです。
同僚による支援を向上させることは、単なる職場の雰囲気改善にとどまらず、健康経営の視点からも重要な取り組みです。
ストレスチェックの集団分析結果をきっかけに、職場環境の改善に取り組むことで、メンタルヘルス不調の予防、生産性の向上、離職防止など、組織の持続的成長につながります。人事労務担当者の方は、組織の状況に応じて、本稿で紹介した施策を適切に組み合わせ、持続可能な「支援し合う組織文化」の醸成にぜひお役立てください。
まとめ
健康経営を始めるにあたって、職場のメンタルヘルス施策の検討は非常に重要です。
ゼロから何をやるのか考えるのも良いですが、年に一回のストレスチェックの結果を最大限に活用し、社内のメンタルヘルス施策に活かす方法もあります。
これまでストレスチェックに携わってきた方の中には、
「集団分析の結果をみても、組織改善のための次のアクションが分からない」
「毎年なんとなく実施しているだけで、何がポイントなのか分からない」
「集団分析の結果は毎年一部の人間だけが確認するので、現場の状況が分からない」
と思う方も少なくないでしょう。これらは「何の要因が従業員のストレス反応に直結しているのか、集団分析の中でポイントが明らかにならないこと」「従業員の生の声を聞く機会がないため実態が分からず、具体的な打ち手が分からないこと」などが要因として考えられます。
当社のストレスチェックサービス【STRESCOPE(ストレスコープ)】は、単なるストレスチェックの実施に留まらず、職場環境改善を成功に導く、頼れるパートナーとして多くの企業様にご好評いただいております。
■現状・課題の可視化
表面的な結果だけでは見えない、組織の深層にある課題をデータに基づいて可視化します。
■専任プランナーによる伴走支援
ストレスチェックを熟知した担当プランナーが、事前準備から集団分析結果のご説明、貴社の状況に合わせた具体的な改善施策のご提案まで、一貫してサポートいたします。
■社内報告の負担軽減
ご要望に応じて、経営層向けの分析報告や衛生委員会での結果報告などを代行・同席。分析結果の社内フィードバックを円滑に進めるお手伝いをいたします。
■実施後の充実サポート
ストレスチェック実施後の施策実行状況の共有や、更なる改善に向けたご提案など、継続的な職場環境改善をサポートします。
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