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【2024年保存版】ストレスチェック集団分析の効果的な活用方法/後編

前編振り返り/集団分析の活用について

前編では集団分析の活用について、世の中の動向から、衛生委員会での具体的な活用方法の導入部分までをご紹介しました。
前編の最後には、衛生委員会の参加メンバーに次回までに行ってほしい宿題として以下の2点をお願いしたところでした。

(1)自分の部署でうまくいっている業務改善施策を3つ探すこと
(2)「職場環境改善のヒント集」シートへ記入すること

今回は、その宿題が出揃ったところからご説明していきます。
(前回記事【2024年保存版】ストレスチェック集団分析の効果的な活用方法/前編はこちらから

具体的な衛生委員会での進め方

まずは、それぞれの部署でうまくいっている職場改善施策をシェアします。

職場改善施策は、課題や悪い所ではなく必ず「良好事例」から

例えば、以下のような提出があれば、これらの事例を1つずつ簡潔に説明してもらいます。


職場環境改善は、管理監督者だけでなく、現場の従業員の意見に基づいて行われることが望ましいです。現場の声を取り入れながら改善活動を進めることで、従業員のやらされ感を軽減できます。
そして、良い点は周りへも勧めやすく前向きなディスカッションをしやすいため、先に良い点から共有することで、他の部署・職場への水平展開も進めやすくなります。

コストや手間をあまりかけず、すぐに取り入れられる業務的な改善を積み重ねていくことによって、「職場を良い方向へ変えていける」という従業員の自己効力感向上に繋げることができます。
さらに、そうした衛生委員会の議事録を職場に共有し浸透させることで、衛生委員会内外でのコミュニケーションの促進、チームワークの向上、ストレス低減への意識向上などが期待されます。

「職場環境改善のヒント集」シートの使い方

次に、「職場環境改善のヒント集」シートに集まった回答を集計し、衛生委員会で結果を共有しましょう。
委員会メンバーが提出したシートを集計することで、各項目に対して、対策が必要と考えている人の割合やその優先順位を見える化できます。

この集計結果から、

多くの人が、対策が必要と判定した項目
優先順位点数の合計点が高かった項目

が分かるため、それらの項目の中から 1~2個を選び、対応策について議論しましょう。

良好な事例を参考にして、対策を検討するのも1つの方法です。
また、時には「それぞれの部署で議論したり、展開した方が良い」という意見が出ることもあるでしょう。その場合は、部署ごとの展開方法についても話し合うことが重要です。

これらは直接的にストレスチェックの結果から抽出された課題ではありませんが、ストレスチェックの分析結果をきっかけとして、こうした「議論する仕組み」を作ることが、メンタルヘルス施策展開の重要な一歩となります。

ストレスチェックの集団分析を初めて活用する場合は、まずはここまで行ってみることをお勧めします。

ストレスチェックデータの真価を発揮する方法

ここまでは、衛生委員会の参加メンバーから課題を集める方法をご提案してきました。

職場環境改善に初めて取り組む場合には非常にお勧めの方法なのですが、やはりストレスチェックのデータから直接的に見出した課題に焦点をあてて議論ができると、なお良いですよね。

特に、高ストレス職場と言われる組織の中で特に高ストレス該当率が高い部署や、ストレス判定図の結果が非常に不良な部署・年齢層について、対応に悩まれる事業所は多くあります。
反対に、ストレスチェック結果が問題ないと言われたある部署の管理監督者が、「自分の部署はこんなにストレスが低いはずがない(そのくらい大変な思いをしている)」と主張する場面に出会うことも、過去に何度もありました。
こうした場合に、ストレスチェックそのもののデータから導かれた原因を元に、それぞれの部署が何に取り組むべきなのかを議論できると、さらに一歩前進することができます。

ストレスチェックのデータから「ストレスの原因」を特定するための分析方法

実は、ストレスチェックの回答結果からストレスの原因を理解するためには、厚生労働省が推奨している分析書式では不足があります
厚生労働省が提示している集団分析の方法として「仕事のストレス判定図」というものが広く利用されていますが、この図はあくまで特定の設問グループの回答結果を集計して、平均値の高い/低いを示すだけのものであり、「その項目が、本当にストレスの原因となっているのかどうか」を特定することはできません。

仕事のストレス判定図は、主要なストレス因子をモニタリングすることができるため、経年比較や部署間の比較ができるという点で効果的です。しかしながら、何がストレスの原因になっているかを知る上では十分ではなく、表面的な理解に留まる恐れがあります。このことを、事例を使ってご説明します。

集計結果だとわからないことがある 事例:上司の支援

例えば、株式会社A商事の営業1課と営業2課のケースを考えてみましょう。

営業1課の課長は(自分なりに)部下とのコミュニケーションを重視しており、時々部下を食事や飲みに誘っては、個人的な問題も含めて困っていることがないかどうか、何か手伝えることがないかどうかを確認しています。しかし、ヒアリングする限りでは、部下からは「ちょっと面倒くさい」と思われているようです。
一方で、営業2課の課長は2つの部門を掛け持ちしているため社内にいないことが多く、部下はあまり話す機会が多くありません。しかし部下へのヒアリングによると、特に業務には支障がなく、特にストレス源にもなってはいないようです。

この場合、ストレスチェックを実施すると、営業1課における「上司の支援」は非常に高い点数がつきます。


参考:ストレスチェックにおける「上司の支援」に関する質問項目
・上司はどのくらい気軽に話ができますか?
・上司はあなたが困った時、どのくらい頼りになりますか?
・上司はあなたの個人的な問題を相談したら、どのくらいきいてくれますか?


営業1課の課長は部下から多少面倒くさいと思われていても、気軽に話はできるし、個人的な問題についても聞いてはくれるので、悪い点数はつきません。一方で、営業2課の課長は不在がちのため、不良な点数がつきやすくなります。

この回答結果を受けて、A商事としては営業1課の課長を賞賛すべきでしょうか?営業2課の課長を叱責すべきでしょうか?
どちらも適切ではありませんよね。

これらのデータを正しく解釈するためには、点数の高い/低いだけではなく、実際の職場環境や従業員の感じるストレスの性質を理解する必要があります。単なる集計からは、このあたりを読み解くことができません。

次に、少し統計の知識がある方は「そうしたら、相関分析をすれば良いのでは?」と思うかもしれませんね。

たしかに、単なる集計よりは相関分析を行った方が、各項目とストレスとの関係性が見えやすくはなります。
ところが、単なる相関分析にも気をつけなければいけない点があるのです。

相関関係がすべてではない 事例:小学生の体重と漢字習得数

まずは、1つの例をご提示します。


小学校では、体重と、知っている漢字の数には強い相関があります。
体重が重い児童ほど、多くの漢字を知っています。
だから、漢字テストの成績を良くするために、たくさん食べて太らせましょう。


皆さん、この説明をご覧になって、いかがでしょうか?
実際、小学生の場合は体重が大きい児童の方が多くの漢字を知っているのは事実ですが、太らせても成績は上がりません。

これは、「体重と成績には相関があるが、それは学年(年齢)が上がる過程で身体が成長するためであって、本質的な因果関係では無い」ためです。
実際に、「学年」という変数も加味して分析をすると、体重と成績とは無関係という結果が出てきます。

この例からわかるように、関連する他の変数を考慮しない単なる相関分析では、誤った意思決定をしてしまう可能性があるのです。
では、どのようにすればストレスチェックのデータから「ストレスの原因」を特定することが出来るでしょうか?

多変量回帰分析を用いて、より正確な分析が可能に

単純な集計や相関分析に依存することは、先ほどの事例のように、課題を読み違え、誤った意思決定を招く恐れがあります。

組織として投資のポイントを絞ること

メンタルヘルス対策や職場環境改善を1つの「投資」として考えると、組織としては投資のポイントを絞り、その効果を測定してPDCAサイクルを回すことで、従業員の健康と組織の業績を持続的に向上させていくことが期待されます。
効果的な投資を行うためには、ストレスの原因をなるべく正確に知ることが望ましいですが、そのためには多変量回帰分析や共分散構造分析といった、高度な統計手法が必要となります。このような手法を用いて分析することで、ストレスチェックのデータを戦略的に活用し、どこに手を打つことが最も効果的なのか、投資の方向性を定めることができます。

多変量回帰分析で見えること

回帰分析を行うことで、仕事の量的負担などの各ストレス要因が、実際に従業員の心身のストレス反応にどの程度影響しているのかを数値化できます。これにより、ストレス対策として有効な項目と意味のない項目を洗い出し、最も影響が大きい項目に対して、効果的な施策を立てることができるのです。

仕事のストレス判定図に組み込まれている「仕事の量」「仕事の裁量権」「上司の支援」「同僚の支援」という4つの項目は、長年にわたり職場環境を大きく定義づける因子として重要視されており、現在も同様であることには変わりありません。

しかし、それ以外の職場環境因子が、ストレスに対して大きな影響を持っているケースも多々あります。

ストレスチェックの結果を適切に分析し、ストレスの原因を特定できると、高ストレス者が比較的多い職場でも、ストレス状況が良好と判定されている職場でも、改善のための議論を建設的かつ効率よく展開することが可能です。また、実際のデータの分析結果という事実は、管理監督者にとっても納得感のある結果として受け止めやすく、自分たちの部署の職場環境改善の視点で、率直な議論につながりやすいという利点があります。

おすすめのストレスチェックサービス『STRESCOPE』のご紹介

ストレスチェックのデータを適切に分析して「ストレスの原因」を特定するためには、高度な統計手法が必要であることをご説明してきました。

このような高度な集団分析を行い、組織内のストレスの原因を特定できるストレスチェックサービスが『STRESCOPE(ストレスコープ)』です。

STRESCOPEでは標準の集団分析のなかで、多変量回帰分析という手法を用いて分析を行い、実際の心身のストレスに影響が大きい項目は何か、どの項目を改善することが最も効果的かを調べることが出来ます。

実際のデータから最も改善効果の高い項目を特定し、それに対して施策を議論することが、従業員のメンタルヘルスと企業業績の向上に寄与するでしょう。自社で最もストレスに影響している要因が何なのか、一度分析を行いつつ、PDCAを回してみることをお勧めします。

むすび

前編と後編を通して、集団分析の活用法についてみてきました。

初めは、自分たちが行った職場改善の良い所に注目することがポイントでした。
これは、対話のきっかけづくりであり、いわばメンタルヘルス対策を始めるための「仕掛け」です。

そこから一歩進んで、職場改善のトピックについて従業員同士で話し合うことができる「仕組み」を作ることが重要です。

今回は衛生委員会での話し合いを中心にお話しましたが、衛生委員会でなくとも、ラインケア研修やメンタルヘルス研修、職場巡視など、既存の枠組みに組み込んで行うことがスムーズです。

ここまでくると、次のステップである、取り組みの計画づくりへと抵抗感なくつながっていきます。そして話し合って作成した計画を、実際に実行し、振り返り、PDCAサイクルを回していきます。

毎年の繰り返しで十分かと疑問を感じることもあるでしょう。しかし、参加と対話のプロセスを継続している組織では、自然と自主的な風土が醸成されていくものです。

2024年は、ぜひ「仕掛けづくり」と「仕組みづくり」を始めてみましょう。

田中倫子(産業保健師)

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