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ストレスチェックWEB受検のメリットと導入ポイントを解説!紙受検からの切り替えポイントも

はじめに:なぜ今、ストレスチェックのWEB化が求められるのか

労働安全衛生法に基づき義務づけられているストレスチェック制度は、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、職場の生産性やエンゲージメントを維持・向上させるための重要な仕組みです。

令和7年(2025年)5月に改正労働安全衛生法が成立し、従業員50人未満の事業場にもストレスチェックの実施義務が拡大されることが決まりました。最長で令和10年(2028年)5月までには、すべての事業場で実施が義務づけられる見込みです。対象範囲の拡大により、ストレスチェックの重要性は今後さらに高まっていくと考えられます。

制度開始当初はマークシートによる紙受検が主流でしたが、近年は多くの事業場でWEBシステム(WEB受検)への移行が進展しています。これは単に回答方法がデジタル化されただけではなく、ストレスチェックが「法令対応のための業務」から、「健康経営を支える戦略的なデータ基盤」へと位置づけが変わりつつあることを意味します。いわば、ストレスチェックのDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速している状況です。

本コラムでは、紙受検からWEB受検への切り替えや、今後新たにストレスチェックの導入を検討している人事・労務担当者の皆さまに向けて、WEB受検のメリットを「業務効率化」と「データ活用」という2つの観点から詳しく解説します。また、スムーズに移行するための注意点や押さえておきたいポイントについても整理しています。

ストレスチェック:紙受検とWEB受検の違い


ストレスチェックの回答方法には、大きく分けて次の2種類があります。

(1)紙受検(マークシート方式)
(2)WEB受検(オンライン方式)

ここからは、厚生労働省が公開している「ストレスチェック実施マニュアル」をもとに、それぞれの方法における留意点を見ていきましょう。

(1)紙受検(マークシート)の留意点

調査票の配布自体は、誰が担当しても問題ありません。ただし、ストレスチェックの回答内容は個人情報にあたるため、回収する際には必ずプライバシーに配慮する必要があります。
実施マニュアルでも、「記入済みの調査票が他の人の目に触れないよう、封筒に入れて提出してもらうなどの配慮が必要」と明記されています。
さらに、回収後の管理にも注意が欠かせません。ストレスチェックの結果は法令に基づき、一定期間、厳重に保管する義務があります。紙で運用する場合は、

・専用の保管スペースの確保
・施錠できる場所での管理
・調査票の紛失防止の徹底

といったセキュリティ対策が必須です。

(2)WEB受検の留意点(インターネットまたは社内イントラネット利用時)

WEB受検における最大の留意点は、従業員の個人情報と回答の秘密をいかに守るかという点です。実施マニュアルには、以下の3つの要件が満たされる必要があると記載されています。

1.個人情報保護や改ざん防止のためのセキュリティが確保されていること

WEBシステムが、従業員の回答データや結果といった機密性の高い情報を適切に保護するための技術的な措置を講じていることが求められます。


■データ保護
通信経路や保存場所におけるデータの暗号化(SSL/TLSなど)が必須です。


■不正アクセス防止
外部からの不正アクセスやデータの改ざん・漏えいを防ぐための対策が講じられている必要があります。


2.本人以外のストレスチェック結果閲覧者の制限

ストレスチェック制度の根幹である「秘密の保持」を担保するため、個人の回答結果は原則として本人のみに通知され、事業者(会社)や人事担当者などが本人の同意なく閲覧することは厳しく制限されています。


■アクセス権限の厳格化
個々の従業員のストレスチェックの結果について、実施者(産業医など)または実施事務従事者として指定された者以外の者がアクセスできない仕組みである必要があります。


■パスワード等の管理
従業員が使用するIDやパスワード、システムへのアクセス権限などが、適切に管理・運用されていることが求められます。


3.実施者の役割が果たされること

WEBシステムがいくら効率的であっても、制度の中核を担う実施者(産業医や保健師など)の役割が損なわれてはなりません。


■判定と面接指導の決定
高ストレス者の選定基準や、面接指導の要否に関する判定プロセスにおいて、システムが自動的に行う場合でも、必ず実施者が内容を確認し、責任を持って最終判断を行う体制が求められます。


これらの要件を満たすためには、WEBシステムを選定する際に、単に価格や機能だけでなく、セキュリティ体制と産業保健の専門性を兼ね備えた信頼できる事業者を選ぶことが不可欠となります。


紙受検・WEB受検のいずれにも注意すべき点はありますが、WEB受検の最大の魅力はなんといっても「業務効率の大幅な向上」です。とくに紙受検では、人事労務担当者が調査票の配布・回収・入力・管理といった手作業に多くの時間を取られがちでした。WEB受検に移行することで、こうした煩雑な事務作業から解放され、本来注力すべき“職場環境の改善”や“従業員支援”に時間を使えるようになる点は大きなメリットといえます。


【ストレスチェックの実務に関する関連記事はこちら】
【人事労務担当者必読】ストレスチェックの疑問を徹底解説!実務ポイント集
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WEB受検のメリット


ここからは、ストレスチェックをWEBで実施することで得られる主な利点について、ストレスチェックを実施する担当者側、検査を受ける従業員側それぞれの視点から、具体的にご紹介します。

担当者の視点:劇的な業務効率化

WEB受検は、煩雑になりがちなストレスチェックの実施・管理業務を大幅に効率化します。

データ処理と進捗管理の完全自動化

紙受検で必須だった以下の作業が、WEBシステムではすべて自動で処理されます。


■煩雑な作業の削減
調査票の印刷・配布・回収、そして最も時間とコストがかかるマークシートのデータ入力・読み取り処理が一切不要になります。


■リアルタイムな進捗把握
受検状況がシステム上でリアルタイムに一覧表示されるため、進捗管理が容易です。リマインダーメールの送信もシステムから簡単に行え、受検率の向上に直結します。


■回答漏れ・重複の防止
多くのWEBシステムには回答時の自動チェック機能が搭載されており、マークシートで発生しがちな「回答漏れ」や「記入ミス」を防ぐことができます。


実施者の役割の効率化と法令遵守

WEBシステムは、実施者(産業医や保健師など)の負担も軽減し、法令遵守を支援します。


■迅速なデータ処理
回答データが即座に集計されるため、紙よりも迅速に集団分析結果を作成できます。これにより、職場改善の議論や施策決定までの時間を短縮できます。


■セキュリティと法令遵守の担保
厚生労働省の実施マニュアルで求められる「個人情報保護のためのセキュリティ」や「本人以外の結果閲覧制限」といった厳格な要件を満たすシステムを選定することで、法令遵守のリスクを大幅に低減できます。


従業員の視点:受検率とセルフケアの質の向上

WEB受検は、従業員にとっても利便性が高く、メンタルヘルスへの意識向上を促します。


■時間と場所の自由
PCやスマートフォンからいつでも、どこからでも回答が可能です。特にリモートワークや多拠点展開している事業所において、地理的・時間的な制約がなくなり、従業員の負担が軽減されることで受検率の向上が期待できます。


■即時フィードバック
回答後すぐに自分のストレス結果をオンラインで確認できるため、従業員が自身のストレス状況を振り返る健康教育の機会を迅速に提供できます。


このように、ストレスチェックのWEB受検は、担当者や従業員の利便性を高めるだけでなく、年に1回のストレスチェックを“価値あるデータ資産”として活用するうえでも大きなメリットがあります。
単なる実施業務にとどまらず、組織改善や健康経営に生かせる情報をより効果的に引き出せる点でも、WEB受検は大きな力を発揮します。

データの活用による企業の健康経営活動の促進

WEB受検によるデータの一元管理は、メンタルヘルス対策の質を高めるだけでなく、企業の健康経営を支える“データ基盤”として大きな役割を果たします。

まず、近年の高度なWEBシステムでは、AIやビッグデータ解析を活用することで、従業員一人ひとりの回答傾向に合わせたパーソナライズされたフィードバックを提供することが可能です。ストレス対処のポイントやセルフケアに役立つ情報が自動で提示され、個人の気づきや行動変容をサポートします。

さらに、WEB受検で蓄積されたデータは、産業医面接記録や健康診断データなどと連携させることで、従来よりも精度の高い詳細な集団分析が実施できます。部署ごとの傾向や高リスク群の特徴を把握できるため、職場全体の改善策を立てるうえで強力なエビデンスとなります。

こうした技術を取り入れることで、従業員はより効果的なセルフケアを実践でき、結果として職場満足度や生産性の向上にもつながります。また、得られた集団分析結果は、働き方の見直しや制度設計の改善など、組織全体の施策づくりにも活用できる重要な情報となります。

WEB受検移行のための留意点と成功のコツ


WEB受検への移行を成功させるためには、一部デメリットも理解し、適切な導入戦略を講じる必要があります。

デバイス環境とデジタルデバイドへの配慮

■必要なデバイスの確保
従業員全員がPCやスマートフォンといった必要なデバイスにアクセスできる環境が整っているか確認が必要です。


■導入サポートの徹底
WEB操作に不慣れな従業員がいる場合、操作方法についての十分なトレーニングやマニュアル提供などのサポートを徹底しなければ、かえって受検率を低下させるリスクがあります。紙媒体での補完的な受検方法を並行して用意することも検討が必要です。


システム選定とセキュリティの遵守

■セキュリティの確保
匿名性の確保、個人情報保護、改ざん防止のためのセキュリティ対策が万全であることを確認します。信頼できる事業者を選定し、システムが厚生労働省の実施マニュアルで定められた「実施者の役割が果たされること」などの要件を満たしているかを厳しくチェックする必要があります。


■機能の重視
単に安価なシステムを選ぶのではなく、「集団分析の柔軟性」「分析結果の分かりやすさ」「セルフケア・職場改善に役立つフィードバック機能」など、結果の活用を念頭に置いた機能が用意されているかを重視して選定しましょう。


ここまで読み進めていただいた方の中には、「WEB受検を導入してみよう」と感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、実際に導入しようとすると、「結局どこから手を付ければいいのか分からない…」という声もよく聞かれます。
そこで、WEB受検への切り替えをスムーズに進められるよう、導入の流れを5つのステップに分けてわかりやすくご紹介します。

ストレスチェックWEB受検導入のための5つのステップ


WEB受検の導入は、単なるツールの変更ではなく、「法令遵守」と「データ活用」の体制を構築するプロセスといえます。

STEP1:実施計画と予算の策定

まず、WEB受検を導入する目的を明確にし、導入スケジュールと予算を決定します。


■目的の明確化
「事務作業の効率化」「集団分析の高度化(DX)」など、目的を明確にします。


■実施体制の確認
法令に基づき、実施者(産業医など)と実施事務従事者(人事担当者など)の役割分担を再確認し、WEBシステム導入後の役割を明確にします。


STEP2: 信頼できるWEBシステムと事業者(ストレスチェックサービス)の選定

導入をする上で、最も重要となるステップです。セキュリティと機能性を重視して、WEB受検サービスを選定する必要があります。


■機密保持
回答データが暗号化され、本人同意なしに事業者が個人の結果を閲覧できない厳格な仕組みになっているかを確認します。


■マニュアル準拠
厚労省の実施マニュアルにある「実施者の役割確保」「改ざん防止」といった要件を満たしているかを確認します。


■機能の比較
単なる受検機能だけでなく、集団分析の柔軟性(部署別、年代別など)、フィードバックの充実度(セルフケアコンテンツの有無)、他の人事データとの連携可否などを比較します。


STEP3:規定の整備と従業員への周知

実施方法が変わるため、社内の規定を整備し、従業員に安心感を与えるための周知を徹底します。


■社内規定の改定
WEB受検の実施方法や、データ利用に関する規定を明確にします。


■従業員への説明
WEB受検に切り替える理由(効率化、より良い分析のため)、セキュリティが守られていること、受検方法(PCかスマホか、共用PC使用時の注意点)を事前に丁寧に周知します。


■サポート体制の構築
WEB操作に不慣れな従業員向けのマニュアル提供や、サポート窓口を準備します。


STEP4:システムの環境設定とテスト実施

導入するシステムの設定と、本番環境でのトラブルを未然に防ぐための準備を行います。


■アクセス環境の確認
従業員が使用するデバイスやネットワーク環境から、問題なくシステムにアクセスできるか、テスト受検を実施して確認します。


STEP5:ストレスチェックの実施と結果の戦略的な活用

実施後のフォローアップこそが、WEB受検の真価が問われる部分といえます。


■高ストレス者への迅速な対応
WEBシステムで即座に集計された結果に基づき、高ストレス者への面接指導の勧奨を速やかに行います。


■集団分析結果の活用
集団分析の結果を基に、次の職場環境改善の具体的な計画を策定します。


ストレスチェックサービスは、提供事業者ごとに様々な特徴があります。ストレスチェックサービスの導入を検討中の方は、ストレスチェック代行サービス選び方ガイドの記事もあわせてご確認ください。

むすび~ストレスチェックDX化で実現する戦略的健康経営~


ストレスチェックのWEB受検化は、単なるデジタル化の潮流に乗るだけではありません。本コラムで見てきたように、業務効率の向上、データ活用の高度化、法令遵守の強化という三つの側面で、企業にとって確かなメリットをもたらす重要な投資です。特に、2025年の法令改正により対象事業場が大幅に拡大する今、「紙からWEBへ」の移行は、これからストレスチェックを運用していくうえで避けては通れないテーマになっています。

さらに、WEB受検によって得られたデータは、従来のような“年に一度の報告書”で終わらせるのではなく、健康経営のPDCAサイクルを回すうえで欠かせない基盤となります。集団分析を精緻化できることで、部署ごとの課題の可視化と改善策の立案が容易になり、組織全体のウェルビーイング向上にも確実につながっていきます。まさに、ストレスチェック制度を“成果につながる仕組み”へ進化させる鍵となる取り組みといえるでしょう。

とはいえ、WEB受検への移行には、デバイス環境の準備や従業員への説明、システム選定など、いくつか検討が欠かせないポイントがあります。本コラムで紹介した5つのステップを参考にしていただければ、無理なく、そして確実に移行を進めることができるはずです。

ストレスチェックは、会社が従業員の心身の健康に向き合う大切な機会です。WEB受検化をきっかけに、職場環境の改善が加速し、より安心して働ける組織づくりへとつながっていくことを願っています。

まとめ

法改正で重要性が拡大

  • 2025年から50人未満事業場も義務化対象となり、ストレスチェックの実施体制整備が急務に。

紙とWEBの大きな違い

  • 紙は配布・回収・保管に手間とリスクが多く、WEBはセキュリティと運用設計が重要。

紙受検の主なリスク

  • 回収時のプライバシー確保、調査票の紛失防止、施錠管理など物理的な管理負担が大きい。

WEB受検の必須要件

  • データの暗号化やアクセス権限管理などのセキュリティ、そして実施者(産業医等)の役割が確保されていること。

WEB受検の主なメリット

  • 事務作業の大幅削減、受検率の向上、リアルタイム集計など、担当者・従業員双方にメリットあり。

WEB化がもたらす企業の利点

  • データ一元化により集団分析の精度が上がり、職場改善や健康経営のPDCAを回すための「戦略的な基盤」になる。

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