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ストレスチェック

ストレスチェック丸わかりガイド「前編/導入準備」

ストレスチェックの導入準備について

「従業員数が50人を超えたので初めてストレスチェックを実施するけれど、何から始めたら良いの?」
「ストレスチェックの担当者になったが、何をどこから勉強したら良いのか分からない」
「今までなんとなくストレスチェックをすすめてきたけど、これでいいの?」
本記事をお読みの皆さまの中には、このような方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ストレスチェック実施マニュアルをわかりやすく解説

厚生労働省からはストレスチェックの実施マニュアルが展開されていますが、本マニュアルは200ページを超えるボリュームがあり、隅々まで読み込んで、理解しながら進めることは難しい、という方も多いでしょう。
そのような皆さまのために、本記事では「ストレスチェック丸わかりガイド」として、弊社で展開しているストレスチェック丸わかりガイドの内容と、厚生労働省のマニュアルの中から重要な点を抜粋して、押さえておくべき実務のポイントをご説明します。これからストレスチェックに向けての導入準備を行う方は、ぜひ「ストレスチェック丸わかりガイド」をダウンロードして内容をご一読ください。

本記事ではまず、ストレスチェックを実施するまでのポイントを「前編/導入準備」としてご説明します。
本記事の内容は、ストレスチェックを実施する上で基本的かつ大切な内容ばかりです。なお本記事の続編ではストレスチェックの実施から集団分析に至るまで、皆さまに有益な情報をお届けしますので、ご関心のある方は本記事の続編もあわせてご確認ください。

ストレスチェックの実施は法律で義務付けられています

ストレスチェックは正式には「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」といい、労働安全衛生法第六十六条の十において、1年に1回以上、実施することが定められています。つまり、ストレスチェックを実施することは会社の義務であり、違反した場合は罰則が伴います。

自分の会社はストレスチェックの実施義務があるのか確認しましょう

ストレスチェックの実施が法律で定められている会社は、常時雇用する従業員が50人以上いる会社です。「常時雇用する従業員」の定義は以下①または②いずれかに該当する従業員を指します。

①期間の定めなく雇用されている者
②過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者または雇い入れ時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

なお「常時雇用する従業員」には、正社員以外のパート・アルバイト社員も含みます。

ストレスチェックの実施対象となる従業員

ストレスチェックの実施義務がある会社は、常時雇用する従業員が50人以上の会社ですが、ストレスチェックの対象となる従業員は、以下①または②いずれかを満たすもの、と定められています。ストレスチェックの実施義務の有無の基準とは異なりますので、注意しましょう。

①期間の定めのない労働契約により使用される者であること。(契約期間が1年以上の者、1年以上の使用予定の者を含む)
分かりやすくお伝えすると、正社員や、1年以上勤務する予定の有る契約社員が対象であると解釈することができます。

②週の所定労働時間数が、同種の業務に従事する通常労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
例えばとある会社で、正社員の一週間あたりの所定労働時間が40時間だとしましょう。パートやアルバイトの従業員であっても、仕事内容が正社員と比して同様であれば、週の勤務時間が30時間を超えていれば、ストレスチェックの対象となります。対象となる従業員の範囲については丸わかりガイドの2ページと3ページに詳細が記載されていますので、ぜひご参考になさってください。

ストレスチェックの目的

ところで、ストレスチェックは何のために行うのでしょうか。ストレスチェックの実施目的は、大きく分けて以下の2つがあります。

目的①:従業員自身のストレスへの気づきを促す
目的②:ストレスチェックの結果をもとに職場環境の改善を行う

目的①②が達成されることにより、ストレスによるメンタル関連疾患の発症を未然に防ぐことを目指しています。

ストレスチェック全体の流れ

ストレスチェックの全体的な流れを見てみましょう。ストレスチェックの流れをまとめると、以下の図のような流れになります。
本記事は準備編のため、「ストレスチェックの実施に至るまで」に必要な基本的知識やポイントについてご説明しています。なお、最後の点線で囲まれている「集団分析の実施」は努力義務になります。集団分析を実施しなくても法律で罰せられることはありませんが、一年に一回のストレスチェックは組織の実態を知ることができるチャンスとも言えますので、集団分析を適切に行い、データを有効活用することが大切です。

ストレスチェックの実施体制

ストレスチェックの実施が決まったら、まずは役割分担を行いましょう。ストレスチェックを実施するためには、大きく分けて3つの役割を決定する必要があります。

実施者

ストレスチェックの企画と結果の評価に関与する「実施者」という役割があります。以下の①~③いずれかの資格を持つ者が実施者となりストレスチェック全体の統括者のような役割を果たします。会社で産業医を選任している場合は、産業医が実施者を担うケースがほとんどです。また、ストレスチェックを外部に委託する際には、委託先の有資格者が実施者となることができます。

・医師(産業医が選任されている場合は、産業医が実施者になることが多い)
・保健師
・一定の研修を修了した看護師または精神保健福祉士等

実施事務従事者

ストレスチェックの実務を担当するキーパーソンです。ストレスチェックの実施や集団分析のための作業、受検の勧奨、面接指導の勧奨等の実務を担当します。従業員の回答結果を直接確認する作業を伴うため、従業員が安心して本音で回答ができるよう、人事権を持つ人は実施事務従事者になることができませんので注意しましょう。
人事権を持つというと、人事部の管理職が思い浮かぶ方が多いかもしれませんが、実務上人事権を持つ人であれば、部署や肩書にかかわらず、実施事務従事者になることができません。逆を言えば、人事権を持たなければ、人事部の担当者でも実施事務従事者になることができます。

担当者

ストレスチェックの実施計画の策定や、従業員への通知、ストレスチェック受検の勧奨等を行います。従業員の回答結果を直接確認することはありませんので、人事権を持つ人も担当者になることができます。(ストレスチェックの回答有無を確認することは、回答内容では無いので問題ありません。)

上記を踏まえて、従業員が安心してストレスチェックを受けられるような体制を考えてみてください。

衛生委員会等での審議

厚生労働省のマニュアルでは、ストレスチェックを実施するにあたって、以下の内容を衛生委員会で審議を行うことが必要であるとされています。項目は全部で11個ありますが、ここでは特に重要なものにポイントを絞ってご説明します。詳しくお知りになりたい方は、厚生労働省実施マニュアルをご確認ください。

衛生委員会で審議すべきこと<一部抜粋版>

ストレスチェックの実施目的について
ポイント:ストレスチェックを実施した結果、メンタル不調者の早期発見になることはありますが、一義的な目的はあくまで病気発生の未然予防です。このストレスチェックの一義的な目的について従業員に周知する方法について、衛生委員会で承認を得るようにしましょう。

ストレスチェックの実施体制について
ポイント:「ストレスチェックの実施体制」でご説明した、実施者・実施事務従事者・担当者を明らかにします。ストレスチェックを外部に委託する際も同様です。

ストレスチェックの実施方法について
ポイント:ストレスチェックの実施においてどの調査票を使うのか、高ストレス判定の基準についても審議を行います。

集団分析の実施方法について
ポイント:従業員が安心してストレスチェックを受検できるよう、集団分析を行う際は、個人が特定されないようにすることが必要です。分析の対象組織が10人を下回る場合は、個人が特定される可能性があるため、全従業員の同意を取得しない限り、会社に分析の結果を提供してはならないとされています。しかし個人の特定につながり得ない方法で実施する場合は、あらか じめ衛生委員会等での審議を行った上で、10人未満の単位での集計・分析を行うことも可能です。そのため何人以上の集団で集団分析を行うか、衛生委員会等で審議を行うことが求められます。

ストレスチェックに関する社内規程の策定と従業員への通知

厚生労働省の実施マニュアルでは、「ストレスチェックの実施に際して衛生委員会での調査・審議後、ストレスチェックに関する社内規程を定めて従業員に周知する」とされています。これから社内規程を策定される方は、厚生労働省実施マニュアルに規程の例が示されていますので、本マニュアルに沿って策定することができるとよいでしょう。

その他、ストレスチェックにおいて大切な考え方

できる限り多くの従業員にストレスチェックを受けてもらうことで、より実態を反映した結果が得られたり、多くの従業員にストレスへの気づきを与えたりすることができますが、従業員にはストレスチェックを受検しない権利があることも、また事実です。

従業員に不利益が生じないように配慮する

前述の内容を含め、会社は受検を強制することはできませんので、注意しましょう。また、ストレスチェックを受けないことによって従業員に不利益が生じないようにすることも大切です。
医師による面接指導を希望した場合も同様です。自ら手をあげた従業員が不利益を被ることのないよう、充分に配慮した体制を整えることが求められます。

ストレスチェックに関する情報の取り扱いには注意する

ストレスチェックの回答内容や結果は非常にセンシティブな内容であるため、従業員が安心して本音で回答できるよう、活用方法や取り扱いには充分に注意することが必要です。
ストレスチェックを実施するにあたっては、「この情報は誰が扱ってもよいのか」「どこまで開示したらよいのか」常に注意をしながら進めることが大切です。
ストレスチェックに関する情報の取り扱いについては「ストレスチェック丸わかりガイド」に詳しく記載されています。関心のある方は、ぜひリンク先からダウンロードの上、資料の内容をご確認ください。

むすび

この記事ではストレスチェック実施までの事前準備について詳しくご説明してきました。
続編の記事では、さらにストレスチェック実施中に押さえておきたいポイントや、集団分析結果をもとにした職場環境改善についてお伝えする予定です。

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