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成果につなげるストレスチェック STRESCOPE
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人事・労務のご担当者の皆さまは、日々、従業員の健康管理や職場環境の整備に尽力されていることと思います。近年では健康経営の考え方が広まり、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ職場づくりに関心を寄せる企業も増えてきました。
一方で、厚生労働省が公表している令和6年度の調査結果によると、精神障害による労災認定件数は過去最高を更新しており、企業におけるメンタルヘルス対策は、もはや個別の対応にとどまらず、会社の成長や持続性を左右する重要な経営課題となっています。
私はこれまで産業保健師として、さまざまな企業のメンタルヘルス対策に携わってきましたが、その中で実感しているのは「予防の段階に応じた適切な対策を講じ、それぞれの施策を連動させながら進めていくことが、実効性の高いメンタルヘルス対策につながる」という点です。
職場のメンタルヘルス対策は、以下の図に示す通り、一次予防・二次予防・三次予防の三段階に整理されます。それぞれの定義や対象、具体的な取り組みについては図で示した通りですが、各段階には異なる役割があり、いずれか一つだけでは十分とは言えません。
三つの予防をバランスよく進めることで、はじめて実効性のあるメンタルヘルス対策につながります。本記事では、一次予防・二次予防・三次予防それぞれのポイントについて、産業保健の現場での経験も交えながら解説します。


一次予防とは、「メンタルヘルス不調そのものを発生させないための取り組み」のことです。
具体的には、職場環境の改善やストレス要因の軽減、従業員のストレス対処能力の向上などが含まれます。
ストレスチェック制度は、職場のメンタルヘルス対策における一次予防として位置づけられています(一部高ストレス者対応など、二次予防につながるケースもあります)。その本質は、不調者を見つけ出すことではなく、職場環境の状態を可視化する仕組みにあります。
しかし現場では、「実施して終わり」「高ストレス者対応が中心」となり、一次予防として十分に活かしきれていないケースも少なくありません。本来、ストレスチェックの価値は、集団分析結果を通じて職場の課題を把握し、改善につなげていく点にあります。
業務量や人間関係、裁量度など、数値として示された結果は、職場を見直すための重要なヒントとなります。これらを衛生委員会で共有し、現場の実感と照らし合わせながら議論することで、実効性のある一次予防へと発展していきます。ストレスチェックを「年に一度の義務」で終わらせず、職場環境改善のスタート地点として位置づける視点が求められています。
なお、ストレスチェックは、ある時点でのストレス状態を把握する「定点観測」であり、結果がすべてを示すものではありません。それでも、実務の現場では、ストレスチェックの結果をきっかけに職場環境改善の取り組みが全社へと広がり、良好な職場環境づくりが企業文化として定着した事例も数多く見られます。
人事・労務担当者としては、ストレスチェックを単なる法令対応として捉えるのではなく、職場環境改善を進めるための重要なツールとして位置づけることが求められます。結果を読み解き、現場との対話につなげることで、一次予防としての効果を最大限に引き出すことができるのです。
一次予防の中でも、健康教育は一次予防の土台となる重要な施策です。健康教育には大きく分けて「従業員向け」と「管理者向け」があります。
従業員向けの健康教育では、ストレスや心身の不調を「自分ごと」として理解してもらうことがポイントです。セルフケア(ストレスに気づき、適切に対処すること)の考え方や、睡眠・生活習慣の重要性などを知ることで、不調の早期気づきやセルフケアにつながります。
また、「不調を感じたら相談してよい」というメッセージを繰り返し伝えることで、メンタル不調に至る前に相談しやすい職場風土づくりにも寄与します。
一方、管理者向け健康教育では、ラインケア(管理者が部下に対して行うケア)の視点が欠かせません。部下の変化に気づくポイントや日常的なコミュニケーションの取り方、心理的安全性のある職場づくり、ハラスメント防止など、管理職として求められる役割を具体的に理解してもらうことが大切です。
多くの企業では業務遂行能力の高い優秀な従業員が管理者に登用されますが、こうした管理職特有の知識やスキルは、新たに習得していく必要があるものです。 「理解していて当たり前」と考えるのではなく、あらためて教育の場を設けることで、内容を体系的に整理でき、管理者自身が一次予防の担い手であるという認識につながります。
実際、管理職向けにコミュニケーションスキルをテーマとした勉強会を実施した結果、翌年の従業員サーベイで「上司の支援」に関する評価が向上した事例もあります。管理者向け健康教育は、職場環境改善に直結する施策と言えるでしょう。
人事・労務担当者には、健康教育を単なる知識提供で終わらせず、職場環境改善につなげる仕組みとして設計・運用する役割が求められます。衛生委員会での継続的なテーマ設定や、ストレスチェック結果、現場の実態を踏まえた内容の見直しなど、実情に即した企画が重要です。
さらに、実施後には現場の反応や理解度を確認し、必要に応じて改善を重ねていくことが欠かせません。こうした取り組みを継続することで、健康教育は一次予防として機能し、職場全体に定着していきます。

二次予防は、メンタルヘルス不調の兆候を早期に発見し、重症化する前に適切な対応を行うことを目指します。
二次予防のキーマンは「管理職」です。実際には「管理職だけが担う」のではなく、人事・労務や産業保健スタッフと連携した“要”の存在といえるでしょう。
例えば、ストレスチェックで高ストレス者として判定された従業員には医師による面接指導の機会を提供しますが、実際には面接を希望する人は決して多くありません。これは私たちも日々感じている課題です。本当は支援が必要な人ほど、「大丈夫です」と言って支援を拒んでしまう傾向があります。
そこで重要になるのが、ストレスチェック以外の「気づきのアンテナ」を複数持つことです。しかし、「部下の心の健康状態をどう判断すればいいか分からない」という声も多く聞かれます。そこで、メンタル不調のサインを覚えるための語呂合わせで良く知られている「ケチな飲み屋(けちなのみや)」サインをご紹介します。
部下の様子に、「いつもと違う」と感じる変化はありませんか。こうした状態が2週間ほど続く場合には、メンタル不調の可能性も考え、早めの対応を意識することが大切です。
【け】欠勤/【ち】遅刻・早退…勤怠の乱れ
勤怠の乱れは、メンタル不調のサインとして比較的早い段階で表れやすい変化の一つです。強いストレスがかかると、睡眠の質が低下し、朝起きられない、夜眠れないといった生活リズムの乱れが生じやすくなります。その結果、遅刻や欠勤、出勤時間のばらつきとして現れることがあります。
また、心身のエネルギーが低下すると、出勤すること自体が大きな負担となり、勤怠に影響が出る場合も少なくありません。メンタル不調は言葉で訴えられる前に、行動の変化として現れることが多く、勤怠は客観的な指標として把握できるため、周囲が気づきやすい指標でもあります。
【な】泣き言、悩みの吐露
仕事の中で聞かれる「しんどい」「もう無理かもしれない」といった泣き言は、メンタル不調のサインとして表れることがあります。強いストレスが続くと、物事を受け止める心の余裕が低下し、これまで気にならなかったことにも耐えづらくなります。その結果、つらさが言葉として表に出やすくなるのです。弱音は甘えではなく、助けを求めるメッセージである可能性があります。
【の】能率の低下
業務の能率低下は、メンタル不調のサインとして現れることがあります。強いストレスが続くと、集中力や判断力が低下し、これまで問題なくこなせていた業務に時間がかかるようになります。また、意欲の低下により、作業に取りかかるまでに時間を要するケースも少なくありません。本人は努力しているつもりでも成果が出にくくなるため、周囲からは「能率が落ちた」と見えやすくなります。
【み】ミス・事故の発生
ミスや事故の増加は、メンタル不調のサインとして現れることがあります。強いストレスや疲労が続くと、注意力や集中力、判断力が低下し、確認不足や思い込みによるミスが起こりやすくなります。特に、これまで安定したパフォーマンスを発揮していた従業員に変化が見られた場合は注意が必要です。
【や】“辞めたい”と言う・投げやりな言動
「もう辞めたい」「どうでもいい」といった投げやりな言動は、メンタル不調のサインとして表れることがあります。強いストレスが続くと、物事を前向きに捉える力や問題を解決しようとする意欲が低下し、現状から逃れたいという気持ちが言葉に出やすくなります。これは必ずしも本心からの退職希望とは限らず、心身のエネルギーが消耗している状態を示している場合も少なくありません。
「いつもと違う」と感じる様子が見られた場合には、注意が必要です。こうしたサインを単に本人の姿勢や意欲の問題として片付けるのではなく、これまでとの変化や、表情・声色といった細かな変化にも目を向けながら、メンタル不調の可能性を念頭に置いて対応することが重要です。
そのためには、日頃から本人の状態を把握しておくことが欠かせません。普段の様子を知っているからこそ、小さな変化にも気づくことができるのです。日頃から多くの管理職と関わる中で、日常的にコミュニケーションを取り、継続的に関わりを持つことが、メンタル不調の早期発見・早期対応につながると実感しています。
人事・労務担当者としては、こうした「いつもと違う」変化に現場が気づき、適切に対応できるよう、管理職への周知や教育を行うことが重要です。また、気づきを管理職一人で抱え込ませず、相談や連携につなげられる体制を整えておくことも欠かせません。日頃からコミュニケーションの土台づくりを支え、職場全体で早期対応ができる環境を整えることが、メンタル不調の重症化を防ぐことにつながります。
産業医面談は、適切なタイミングで活用することで大きな効果を発揮します。実際、メンタル不調の初期段階で産業医面談につなげた結果、業務調整や職場環境の改善により、休職に至らず対応できたケースも数多く見てきました。私たちも、産業医の意見を就業上の配慮や職場対応に反映することで、産業医面談は単なる「不調者対応」にとどまらず、重症化を防ぐための有効な二次予防として機能すると考えています。
また、産業医面談に限らず、カウンセラーや外部の医療機関、支援機関など、早期に専門家につなぐことも重要です。人事・労務担当者には、日頃から管理職と連携し、現場での気づきを早期にキャッチしながら、適切な支援につなげていく判断と調整が求められます。

三次予防は、メンタルヘルス不調で休業した従業員の職場復帰を支援し、再発を防止することを目的とします。休職者が出てしまったことは残念ですが、適切な支援によって本人が健康を回復し、再び力を発揮できるようになることは、本人にとっても組織にとっても重要です。
職場復帰支援で最も重要なことの一つは、主治医の意見や産業医の判断を踏まえ、段階的な復帰計画を立てることです。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」にも示されている通り、復帰時期や勤務条件については、産業医、本人、人事、上司が十分に話し合い、職場復帰プランを策定した上で支援を進めることが求められます。
復帰にあたっては、いきなりフルタイム勤務に戻すのではなく、当面は時間外労働や出張、休日出勤を控える、負荷の高い業務を避けるなどの配慮が必要となるケースが一般的です。「所定の労働時間・所定の勤務日を働けること」が復帰の目安とはなりますが、復帰直後は心身を仕事に慣らすためのソフトランディング期間が欠かせません。
また、復帰後3〜6か月程度は、1か月、3か月、6か月といった節目で産業医面談や上司との面談を設定し、勤務状況や体調を確認することが望まれます。定期的な確認の場を設けることで、体調悪化の兆候に早く気づけるだけでなく、本人にとっても安心して働ける環境づくりにつながります。
一方で、「本人が大丈夫と言っているから」「人手不足だから」といった理由で復帰直後から負荷の高い業務を任せ、結果として再休業に至るケースも見られます。ただし、過度な配慮が必要なわけではありません。産業医から「通常勤務が可能」と判断された後は、本人と相談しながら、他の従業員と同様に働ける状態を目指していくことが大切です。
人事・労務担当者には、職場復帰支援全体の調整役として、関係者をつなぐ役割が求められます。主治医や産業医の意見を踏まえつつ、本人や上司と丁寧に調整を行い、無理のない復帰プランを設計・運用することが重要です。また、復帰後の経過を定期的に確認し、必要に応じて見直しを行うことで、再発防止と安定した就業の両立を支えていくことが、人事・労務担当者に期待される役割と言えるでしょう。
出典:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
三次予防において重要なのが、再発防止の視点です。なぜ休職に至ったのかを本人とともに振り返り、同じ状況が繰り返されないよう対策を講じることが欠かせません。個人のストレス対処力を高めることに加え、職場環境に要因があった場合には、その改善にも目を向ける必要があります。
一人の休職者の背景には、同様の課題を抱えながら、休職には至らないものの限界に近い状態で働いている従業員が存在している可能性があります。そのため、個人対応にとどまらず、ストレスチェックやエンゲージメント調査など複数のサーベイ結果を活用し、職場全体の課題や必要な支援を整理した上で、再発防止策を検討することが重要です。
実際の現場でも、産業医と人事・労務が連携し、体調不良者が複数発生した部署に対してヒアリングを行った結果、職場改善につながり、その後は休職者が発生していないケースも見られます。人事・労務担当者には、三次予防を組織全体の課題として捉え、関係者と連携しながら再発防止を推進していく役割が求められます。
ここまで、一次予防・二次予防・三次予防についてそれぞれ説明してきましたが、実際の職場では、これらは独立して存在するものではありません。むしろ、三つの段階は相互に関連し合い、補完しながら機能するものとして捉えることが重要です。
たとえば、職場復帰支援の過程で明らかになった職場の課題は、一次予防の取り組みにフィードバックされるべきものです。また、ストレスチェックによって高ストレス状態にある従業員を早期に把握し(二次予防)、その背景にある職場環境の問題を改善する(一次予防)といった連携も欠かせません。
私が理想的だと感じるのは、産業保健スタッフ、人事・労務担当者、現場の管理職が定期的に情報を共有し、組織全体のメンタルヘルス対策を見直しながらPDCAを回している組織です。組織としての課題や優先順位を話し合える関係性があることで、メンタルヘルス対策の質は大きく向上すると実感しています。
さらに、経営層の理解と支援も不可欠です。メンタルヘルス対策は短期的に成果が見えにくい取り組みも多いものの、長期的には従業員の健康が組織の生産性や企業価値に直結します。人事・労務担当者には、取り組みの効果を可視化し、経営層と連携しながら従業員の健康管理・健康増進を推進していく役割が求められていると言えるでしょう。
まとめ
メンタルヘルス対策は経営課題である
一次・二次・三次予防をバランスよく進めることが重要
一次予防では「職場環境改善」がカギとなる
二次予防のキーマンは管理職であり、支える仕組みが不可欠
三次予防では職場復帰支援と再発防止が重要
三段階の予防を統合し、PDCAを回す組織づくりが理想
当社のストレスチェックサービス【STRESCOPE(ストレスコープ)】は、単なる法令対応の調査にとどまらず、メンタルヘルス対策における「一次予防」「二次予防」「三次予防」を包括的に推進します。
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また、受検者本人への結果フィードバックを通じて、セルフケア(自身のストレスへの気づき)を促します。
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ストレスチェックの集団分析結果は、復職者が戻る予定の部署の職場環境を客観的に把握するための重要なデータです。「仕事の量的負担が恒常的に高い」「周囲からの支援が得られにくい」といった高ストレスな状態が示された場合には、職場環境改善に向けた具体的な介入の必要性を示唆します。これにより、再発防止を見据えた実効性のある対策につなげることができます。
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