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【2028年義務化】50人未満事業場のストレスチェック実施ガイド|運用手順と集団分析・職場環境改善【後編】

50人未満事業場のストレスチェック実施ガイド
前編では、50人未満事業場へのストレスチェック義務化に向け、法改正の概要や実施体制、社内規程、外部委託先の選び方など、実施前に必要な準備を解説しました。
体制を整えた後は、受検案内や結果通知、高ストレス者への対応、集団分析、記録保存など、実際の運用方法を具体化していく必要があります。
後編となる本記事では、厚生労働省の「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月版)」をもとに、ストレスチェックの実施から職場環境改善までの流れを解説します。制度を「実施して終わり」にせず、従業員のセルフケアと働きやすい職場づくりにつなげるための実務ポイントを確認していきましょう。


【この記事でわかること】
・ストレスチェック実施から事後措置までの流れ
・受検勧奨と結果通知で注意すべきこと
・高ストレス者への面接指導と相談先
・集団分析を行う際の人数とプライバシーへの配慮
・分析結果を職場環境改善へ活かす方法
・結果や面接指導記録の保存と運用改善


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50人未満事業場のストレスチェック実施手順とは?-受検から事後措置までの流れ-


ポイント:実施体制を整えた後は、受検案内、結果通知、高ストレス者への対応、集団分析、記録保存の順に運用を進めます。


ストレスチェックの運用は、主に次の4段階に分けられます。


①ストレスチェックの実施
調査票を配布・回収し、未受検者へ受検を勧奨します。結果は実施者から本人へ直接通知します。


②高ストレス者への対応
本人から申し出があった場合は医師による面接指導を行い、医師の意見を踏まえて必要な就業上の措置を検討します。


③集団分析と職場環境改善
部署や事業場ごとの傾向を分析し、業務負担や職場の支援状況などの課題を改善につなげます。


④記録保存と運用改善
関係記録を適切に保存し、受検率や案内方法、改善施策を振り返って次年度の運用に反映します。


外部委託を利用する場合でも、事業場側には従業員への周知、委託先との連携、面接指導の日程調整などの役割があります。誰が何を担当するかを事前に整理しておきましょう。

ストレスチェックの調査票はどう配布・回収する?受検勧奨の進め方と注意点

ポイント:受検しやすい方法と時間を確保し、本人の意思とプライバシーを尊重しながら受検を促します。


実施方法には、Webシステムと紙の調査票があります。従業員ごとにPCや社用メールアドレスがない事業場では紙が利用されることもありますが、個人のスマートフォンからWeb受検できるサービスもあります。勤務環境に合った方法を選びましょう。

実施前には、受検期間、回答方法、結果の取扱い、面接指導の申出方法などを周知します。特に、個人結果は本人の同意なく事業者へ提供されないこと、受検しないことや面接指導を申し出たことを理由とする不利益な取扱いは禁止されていることを明確に伝えることが大切です。

事業者にはストレスチェックの実施義務がありますが、従業員に受検義務はありません。未受検者への案内は必要ですが、業務命令のように強制することはできません。委託先から受検状況の情報提供を受けて案内する場合も、回答内容や個人結果を事業者が把握しない仕組みが必要です。

ストレスチェックは業務時間中に実施することが望ましいとされています。従業員が無理なく受検できるよう、受検時間を確保することも受検率向上につながります。

ストレスチェック結果はどのように通知する?本人への通知方法とプライバシー保護

ポイント:個人結果は実施者から本人へ直接、本人以外に内容が分からない方法で通知します。


個人結果には、ストレスの特徴や傾向、高ストレス者に該当するかどうか、医師による面接指導が必要かどうかといった評価が含まれます。あわせて、セルフケアのアドバイスや相談窓口を案内することで、結果を次の行動につなげやすくなります。

事業者は、本人の同意がある場合を除き、個人結果の提供を受けることはできません。通知は、個別メールや専用の個人ページなど、本人だけが確認できる方法で行います。紙で通知する場合は、全員に同じ形式で配布し、対象者が周囲から推測されないよう配慮する必要があります。

密封された結果通知を事務担当者が本人へ渡すことは可能ですが、開封せず、内容を確認しないことが前提です。事業場の役割は結果の内容を把握することではなく、本人が安心して結果を受け取り、必要に応じて相談や面接指導につながる環境を整えることです。

高ストレス者への面接指導はどう進める?申出から医師の意見聴取・就業上の措置まで

ポイント:本人から申し出があった場合は、速やかに医師の面接指導を行い、必要に応じて就業上の配慮につなげます。


高ストレス者と判定された従業員から申し出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施します。申出を強制することはできず、申出や高ストレス判定を理由とする不利益な取扱いも禁止されています。

基本的な流れは、①本人からの申出、②医師との日程調整と面接、③医師からの意見聴取、④必要な就業上の措置の検討です。面接は申出から1か月以内を目安に実施することが望ましく、実施場所や日程の連絡でもプライバシーへ配慮します。

面接後、事業者は遅くとも1か月以内に医師の意見を聴きます。必要に応じて、労働時間の短縮、時間外労働の制限、業務負荷の軽減、配置や作業内容の変更などを検討します。医師の意見を機械的に適用するのではなく、本人の意向も確認しながら対応することが重要です。

なお、医師から共有される情報は、就業上の措置を検討するために必要な範囲に限られます。診断名や具体的な相談内容まで当然に会社へ共有されるわけではありません。

産業医がいない事業場では面接指導をどこに依頼する?主な依頼先と地域産業保健センターの活用方法

ポイント:50人未満事業場では、地域産業保健センターなどの公的支援を活用できる場合があります。


50人未満事業場には産業医の選任義務がないため、面接指導の依頼先を事前に確認しておくことが大切です。依頼先には、地域産業保健センター、産業医サービスを提供する事業者や医療機関、委託先が提供する面接指導サービスなどがあります。

地域産業保健センターは、50人未満の小規模事業場を対象に、医師による面接指導等の支援を原則無料で行う公的機関です。ただし、ストレスチェック自体の実施や実施者の引受けは行っていません。また、利用回数、申込状況、事業場の条件によって利用できない場合があります。利用を想定する場合は、対象者が出てから慌てないよう、最寄りのセンターの利用条件や申込方法を事前に確認しておきましょう。

面接指導を申し出ない高ストレス者に対しては、社内外の相談窓口を案内します。厚生労働省の「こころの耳」では、電話、SNS、メールによる匿名・無料相談が提供されています。相談方法や会社への情報共有の有無を分かりやすく示し、必要なときに支援へアクセスできる環境を整えましょう。

50人未満事業場でも集団分析は必要?実施するメリットと職場環境改善への活かし方

ポイント:集団分析は努力義務であり、実施しなくても罰則はありません。しかし、職場の課題を把握し、具体的な環境改善につなげるうえで有効な取り組みです。職場環境改善を行うときは結果だけで判断せず、現場の状況や従業員の意見も踏まえながら、実情に合った改善策を検討しましょう。


ストレスの原因が業務量、人員配置、人間関係、情報共有など職場環境そのものにある場合、個人のセルフケアだけでは十分に対応できません。集団分析を行うことで、部署や職場ごとの傾向を把握し、改善すべき課題を見つけやすくなります。

とりわけ小規模事業場では、特定の従業員に業務が集中したり、コミュニケーション上の問題が生じたりすると、組織全体に影響が及びやすい傾向があります。「人数が少ないから不要」と考えるのではなく、事業場全体の働きやすさを点検する手段として活用しましょう。

なお、集団分析では個人が特定されないよう配慮が求められますが、少人数の集団でも集計単位を工夫することで、少人数の職場でも活用が可能です。集団分析結果の提供を受ける際は、原則として実際の受検者数10人以上が目安とされていますが、部署単位で人数が足りない場合は、複数部署をまとめる、事業場全体で分析するなど、個人が特定されにくい集計単位を検討することで対応できます。

また、集団分析の結果だけで判断せず、現場の声にも耳を傾けることが重要です。たとえば「仕事の量的負担が高い」という結果が出た場合でも、その背景には業務の偏り、人員不足、繁忙期の応援体制の不足など、職場ごとに異なる事情が考えられます。また、特定の個人を問題視するのではなく、働きやすい仕組みを整えることを目的とし、プライバシーと心理的安全性に配慮しながら進めることが大切です。

ストレスチェック結果と面接指導の記録はどう保存する?保存期間と情報管理のポイント

ポイント:保存する情報、管理者、保存方法、保存期間を明確にし、閲覧できる人を必要最小限に限定します。


個人結果は健康情報にあたるため、実施者や実施事務従事者など、取扱いが認められた者以外が閲覧できないよう管理します。外部委託の場合は、アクセス権限、保存期間、契約終了後のデータ処理を確認しましょう。紙で保存する場合は、施錠できる場所で管理します。

面接指導の記録は法令に基づき5年間保存します。集団分析結果も、経年変化を確認し職場環境改善に活用するため、5年間保存することが望ましいとされています。委託先との契約では、誰が、どこで、いつまで保存し、終了後にどう廃棄するかを明確にしておくことが重要です。

ストレスチェックの運用はどう改善する?毎年見直すポイントとPDCAの進め方


ポイント:毎年の結果と運用上の課題を振り返り、次年度の実施方法や職場環境改善へ反映します。


受検率、案内の分かりやすさ、相談窓口の周知、面接指導の対応、集団分析後の改善状況などを確認します。集団分析は前年と比較することで、施策の効果や新たな課題を把握しやすくなります。

運用改善は、計画、実施、評価、改善のPDCAで考えると整理しやすくなります。実務担当者だけでなく、管理監督者や従業員の意見も取り入れ、無理なく継続できる方法へ見直していきましょう。

むすび

ストレスチェック制度は、調査票を配布して結果を通知するだけの制度ではありません。従業員が自身のストレス状態に気づき、必要な支援へつながるとともに、集団分析を通じて職場の課題を改善することが本来の目的です。

50人未満事業場では、一人の負担や職場環境の変化が組織全体へ影響しやすいからこそ、受検しやすい運用、適切な個人情報管理、相談先の確保、集団分析後の具体的な改善が重要です。

2028年の義務化を法令対応だけで終わらせず、従業員が安心して働ける職場づくりを進める機会として活用しましょう。

この記事のポイント

運用の全体像
「実施」「高ストレス者対応」「集団分析・職場環境改善」「記録保存・運用改善」の4段階で進める。


実施・通知時の配慮
受検強制や個人結果の無断提供は不可。通知・配布時も個人特定を避ける配慮が必要。


高ストレス者対応
申出があれば医師の面接指導と就業上の措置を検討。産業医不在の50人未満事業場は地域産業保健センター等を事前に確認。


集団分析
努力義務だが職場改善に有効。10人未満では50人未満事業場は全員同意が必要(部署統合等も選択肢)。結果と現場の声を合わせて検討。


記録保存
面接指導記録・集団分析結果ともに5年保存が目安。委託先との保存・廃棄ルールも要確認。


運用改善
受検率や分析結果を毎年振り返り、PDCAで次年度に反映する。


【出典・参考資料】
厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001678866.pdf

厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」
https://kokoro.mhlw.go.jp/

厚生労働省「こころの耳の相談窓口」(電話相談・SNS相談・メール相談)
https://kokoro.mhlw.go.jp/soudan/

厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について」(令和7年法律第33号、50人未満事業場へのストレスチェック義務化を含む改正の全体まとめページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/an-eihou/index_00001.html

よくある質問(FAQ)

Q1.ストレスチェックは勤務時間中に受検させる必要がありますか?

A1.勤務時間中に受検できるよう配慮することが望ましいとされています。勤注に受検時間を確保することで、受検率アップも期待できます。

Q2.未受検者の氏名を会社が確認してもよいですか?

A2.受検勧奨のために受検状況の提供を受ける場合はありますが、回答内容や個人結果まで確認することはできません。委託先と情報の共有範囲とタイミングを事前に決めておきましょう。

Q3.集団分析は10人未満でも実施できますか?

A3.集団分析では、個人が特定されないよう配慮することが欠かせません。50人未満の事業場では、10人未満の部署を対象に集団分析を行う場合、対象者全員の同意を得ることが実施の要件となります。部署単位で人数が足りない場合は、複数部署をまとめる、事業場全体で分析するなど、個人が特定されにくい集計単位に見直すのも有効な方法です。

Q4.高ストレス者が面接指導を申し出ない場合、会社はどう対応しますか?

A4.面接の申し出を強制することはできません。代わりに、社内相談窓口や「こころの耳」など、本人が必要なときに利用できる相談先を案内しましょう。

Q5.地域産業保健センターにストレスチェックの実施も依頼できますか?

A5.地域産業保健センターは、ストレスチェック自体の実施や実施者の引受けは行っていません。高ストレス者への医師面接など、利用できる支援と条件を事前に確認しましょう。

従業員が定着する職場環境づくりを支援する「STRESCOPE」のご紹介

メンタルヘルス不調の未然防止には、ストレスチェックと集団分析を活用し、職場環境の改善に継続的に取り組むことが重要です。
当社のストレスチェックサービス【STRESCOPE(ストレスコープ)】は、調査の実施だけでなく、職場環境改善を実行に移すための支援を提供しています。50人未満事業場への義務化に向け、準備方法に迷う企業にもご活用いただけます。


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経営層や現場が取り組むべき課題を明確にする多角的な分析


事前準備、集団分析結果の報告、事後施策の相談までを支える担当プランナーの伴走支援


小規模事業場に対するストレスチェック義務化の準備、メンタルヘルス対策の推進、ストレスチェック結果の活用に課題を感じている人事・労務担当者の方は、ぜひ「STRESCOPE」へお問い合わせください。

執筆者
株式会社こどもみらい いきいき職場支援チーム

株式会社こどもみらい いきいき職場支援チーム

コラムではメンタルヘルス対策や職場環境改善について、学術的なエビデンスに基づく信頼性の高い情報を、読者の方の組織に活かせる形でお伝えすることを目指して執筆しています。

監修者
株式会社こどもみらい 志村 哲祥

志村 哲祥

医師・医学博士・精神保健指定医・日本医師会認定産業医・日本睡眠学会専門医
東京医科大学 精神医学分野 産業精神医学プロジェクト統括 / 睡眠学講座教授

株式会社こどもみらい取締役
順天堂大学、菅野病院、東京医科大学精神医学分野、スタンフォード大学等を経て現職。組織改善と従業員のセルフケア能力の向上に着目したストレスチェック「STRESCOPE(ストレスコープ)」を開発。

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