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ストレスチェック

【人事必見】技能が活かせない職場の改善法|ストレスチェック結果を活用した人材戦略とは?

メンタルヘルス対策は“義務”から“経営戦略”へ

現代の企業経営において、メンタルヘルス対策は、法的義務を超えた「経営戦略の一部」として欠かせない存在になっています。
2015年12月に施行されたストレスチェック制度は、従業員50人以上の事業場に年1回の実施を義務付け、多くの企業が導入してきました。ところが、制度開始から約10年が経過した現在でも、その結果を効果的に活用できていない職場も少なくありません。
これからは、優秀な人材を確保することはますます重要な経営課題となります。だからこそ、従業員一人ひとりが持つ能力を最大限に引き出し、同時にモチベーションを高めていく工夫が欠かせません。

ストレスチェックで「技能の活用度」が低いと判定された職場では、従業員の持つスキルや能力が十分に発揮されておらず、それがストレス要因になっている可能性があります。こうした状況は、個人のモチベーション低下や組織全体の生産性の低下を招くだけでなく、優秀な人材の離職リスクを高める大きな課題となりかねません。

本コラムでは、ストレスチェックで「技能の活用度」が低いと判定された職場において、人事労務担当者がどのような具体的対応策を講じるべきかを解説します。単なる問題提起にとどまらず、職場環境を改善し、従業員の持つ力を最大限に引き出すための実践的なアプローチをご紹介します。

技能の活用度に関連する設問について

ストレスチェックは一般的に57項目の設問から成りますが、この設問は大きく分けると以下の3つ領域から成り立っています。

1.ストレスの原因と考えられる因子
2.ストレスによって起こる心身の反応
3.ストレス反応に影響を与える他の因子

技能の活用度に関する設問はこのうち「1.ストレスの原因と考えられる因子
」位置づけられ、

・自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない

という設問が該当します。

この設問に対し、それぞれ以下4つの選択肢の中から1つを回答します。
そして1つの選択肢に対し、それぞれ点数が以下の通り決められています。

・そうだ…………1点
・まあそうだ……2点
・ややちがう……3点
・ちがう…………4点

この設問の回答結果は、厚生労働省が定めた計算式に基づき点数化され、技能の活用度として評価されます。

技能の活用度が低いことによって起こる組織的なリスク


自己決定理論という心理学的な観点では、人は「有能さを発揮したい」という基本的欲求を持っています。

日常的に「どれだけ技能を使えているか」は、仕事の満足度、ウェルビーイング(健康・幸福感)などと強く関連することが過去の研究で明らかになっています。これは日々の仕事で「自分の技能」を活かせていると感じられることが、ストレスの低さ、やる気の高さと結びつく、ということです。
逆に言えば、「技能の活用度が低い」と感じることは、仕事に対する満足度や幸福感の低下、さらにはモチベーションの喪失へと直結します。

そして「自分の持っている技能を仕事で活用できていない」という認知が、抑うつ傾向と関連しているという報告もあります。
具体的には、技能不活用を感じている人は、仕事の満足度が低く、ストレスや抑うつなど心理的負荷が増える可能性が高いというデータがあります。
そして、この満足度やモチベーションの低下は、個人の問題にとどまらず、やがては組織全体の労働生産性を下げる要因となり得るのです。

技能の活用度が低くなりやすい職場の特徴

「技能の活用度が低い」という結果が出る背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。まず大前提として、この問題は単に個人のスキル不足に起因するものではない、ということです。むしろ、組織構造や業務プロセス、コミュニケーション体制、評価制度など、職場環境全体に根ざした課題である場合が多いといえます。
以下では、従業員が「技能の活用度が低い」と認識しやすい職場に見られる典型的な特徴について説明します。

仕事の裁量度が低い職場

従業員が自分の技能を活かすには、ある程度業務の進め方を自分で工夫できる余地が必要です。しかし裁量がほとんどない職場では、マニュアル通り・上司の指示通りに動くことが求められるため、知識や経験を駆使する機会が減ります。結果として「自分の専門性を活かせていない」と感じやすくなります。

仕事の裁量度(コントロール)が低い職場への対策に関する記事はこちら

業務が細分化されすぎており、限定的・単調である

効率ばかりを重視して個々の業務が断片化され過ぎると、従業員が全体像を把握できないまま「限定的な作業」に従事する場合があります。このような環境では、どれほど高い技能を持つ従業員であっても、その能力を活かす機会が限られてしまいます。

役割分担や配置がミスマッチである

本来の専門分野や得意分野と異なる仕事を任されると、従業員の能力が十分に活かされません。例えば、企画や分析を得意とする人材が事務的な単純作業に固定されていたり、顧客対応に強みを持つ人が裏方業務に回されていると、スキルが埋もれてしまいます。また、本人のキャリア志向や成長意欲と職務内容がかみ合わない場合も、「自分の力を発揮できない」という感覚を強めます。

評価制度が不透明・不十分

能力を発揮しても正当に評価されなければ、従業員は「力を活かす意味がない」と感じやすくなります。加えて、上司が部下のスキルを十分に理解していなかったり、提案や改善の意見を受け止めない職場では、せっかくの力が活かされず、結果として組織に貢献している実感を得にくくなります。

技能の活用度が低い職場に対して人事・労務担当者ができること


これまで述べたように、技能の活用度が低い状態は、従業員のモチベーション低下やメンタル不調の発生にとどまらず、組織全体の労働生産性にも悪影響を及ぼします。そこで本稿では、生産性の低下を防ぎ、会社の持続的な成長につなげるために、人事労務担当者が取るべき対応を3つのステップに分けて詳しく解説します。

STEP1.要因の特定・可視化

従業員との対話による要因の特定
技能活用度の低さを改善するためには、まず根本原因を正確に特定することが不可欠です。人事労務担当者は、ストレスチェックの結果を表面的に捉えるのではなく、深層にある問題となる構造を理解する必要があります。そのためには、現場で働く従業員との対話が欠かせません。

効果的な分析手法の一つとして、従業員との個別面談やグループインタビューがあります。ストレスチェックの結果は定量的なデータを提供しますが、その背景にある定性的な要因を理解するためには、直接的な対話が重要です。面談やインタビューでは、従業員が現在の業務において自身のスキルをどの程度活用できていると感じているか、どのような場面で能力を発揮できずにいるかを詳しく聞き取ります。


業務プロセスの可視化
まず、業務プロセスを可視化することで、各業務に必要とされるスキルや知識が明確になり、従業員の保有スキルとの対応関係を把握することが可能となります。これにより、潜在的に有している能力が業務に十分に反映されていない領域を特定でき、技能の「埋没」を防ぐことにつながります。
さらに、業務の流れを可視化することは、タスクの偏在や無駄の多い工程を明らかにし、業務設計そのものの改善を促進します。結果として、専門性を活かした適材適所の配置が可能となり、技能活用度の向上につながります。

従業員自身にとっても、自らの業務が組織全体の成果にどのように寄与しているかを理解する手がかりとなります。この点は、職務への納得感や貢献感の醸成につながり、モチベーションの維持・向上を支える要因ともなるのです。


組織診断ツールの活用
「技能の活用度が低い」という抽象的な問題を、具体的で改善可能な課題に変換するための組織診断ツールの活用も有効です。
先述の通り、従業員が「自分の力を活かせていない」と感じる背景には、業務設計、裁量度、評価制度の不透明さなど、複数の要因が複雑に絡み合っていることが少なくありません。これらを人事担当者や管理職の主観だけで特定するのは困難な場面も多いでしょう。組織診断ツールを用いることで、アンケートやデータ分析を通じて従業員の認識や行動傾向を定量化し、部署ごとの傾向や問題点を可視化できます。その結果、技能活用度の低下につながっている具体的な要因を特定し、適材適所の配置や業務プロセスの改善、評価制度の見直しといった実効性のある施策に結びつけることが可能になるのです。

さらに、診断結果を共有することで、従業員自身も「自分の声が組織改善に反映されている」という実感を持ちやすくなります。


STEP2.具体的な対応策の実行

ストレスチェックの結果、従業員が「自分の能力や専門性を十分に活かせていない」と感じていることが明らかになった場合、人事労務担当者には職場環境の改善を推進する役割が求められます。原因を把握した後に実施できる主なアクションを以下に整理します。


適材適所を意識した要員配置の見直し
スキルやキャリア志向を把握することで、業務との整合性を再評価し、強みを発揮できる業務を任せることができます。
人事労務担当者に求められるのは、その基盤を整える仕組みづくりです。具体的には、スキルシートの整備や資格取得状況の定期的な更新、さらには本人との面談を通じてスキルや能力を継続的に把握することが有効です。こうした情報を踏まえ、従業員を適切な職務に配置することで、技能の活用度を高めると同時に、過大な能力を求められることによるミスマッチの発生を防ぐことができます。


仕事の内容や方法の見直し
例えば、仕事の内容が単調作業に偏っている場合には、従業員に裁量や意思決定の余地を持たせ、自ら工夫できる要素を取り入れるなど、業務の進め方を見直すことが効果的です。
具体的には、日々の単調な作業だけでなく「どうすれば仕事をより良くできるか考えて提案する」といったような改善提案の役割も組み込むことで、「考えて工夫する場」が増え、従業員が自らの技能を発揮しやすくなります。

さらに、STEP1で可視化した業務プロセスをもとに、特定の従業員に業務が集中している状況を是正し、専門性が求められる工程へ適切に人材を配置し直すことも有効です。これにより、技能の活用度が向上するだけでなく、組織全体の生産性向上にも直結します。


評価制度・目標管理の見直し
技能の活用度を高めるうえで、人事労務が注力すべきポイントの一つが「評価制度・目標管理の見直し」です。従来の制度では、成果のみを評価軸に置きがちですが、それでは「技能をどのように発揮したか」という点が見落とされてしまいがちです。
そこで、成果とあわせて「改善提案を行ったか」「新しい知識を実務に応用したか」といった技能活用の過程を評価対象に含めることが重要です。また、目標管理においても数値目標だけでなく、「専門スキルを活かした業務改善」や「社内へのナレッジ共有」といった行動目標を設定することで、従業員が力を発揮する場面を自然に増やすことができます。

さらに、上司の主観に依存しすぎないよう、関係者のフィードバックを取り入れるなど評価の多角化を図れば、公平性と納得感が高まり、技能発揮への動機づけにつながります。
このように評価や目標管理を行うことで、従業員は「技能を活かすことが正当に評価される」という実感を持ちやすくなり、結果としてモチベーションの向上につながります。


スキル開発とキャリア支援
人事労務担当者の役割として、従業員が持つ力を磨き続ける「スキル開発」と、その力を適切に活かせる場へ導く「キャリア支援」の両面からの支援が重要です。
スキル開発によって新しい知識や技術を身につければ、これまで以上に幅広い業務に挑戦できるようになります。一方でキャリア支援は、本人の得意分野や志向を理解し、それに合った業務やプロジェクトに参加できるよう後押しする役割を持ちます。この二つを組み合わせることで、従業員は「学んだことを実際の仕事で試す→成果が出る→評価される」という流れを実感でき、モチベーションが高まります。

また、研修や社内勉強会、上司との面談などを通じて成長の方向性を共有することで、「自分はこの会社で力を活かせる」という安心感にもつながります。結果として、技能活用度が高まり、働きがいと生産性の向上につながります。


上司・管理職へのマネジメント研修
技能の活用度を高めるうえで、人事労務担当者の大切な役割のひとつが、上司や管理職に対するマネジメント研修の実施です。従業員が自分の力を十分に発揮できるかどうかは、業務の割り振りや裁量の与え方など、上司の関わり方に大きく左右されるためです。
そこでマネジメント研修を通じて、部下の強みを把握する方法や、適切に権限を委譲するスキル、成果や努力を正しく評価する視点を養うことが重要です。
また、従業員の意見を受け止める姿勢や、挑戦の機会を与える意識を学ぶことで、部下は「自分の力が必要とされている」と感じ、技能を活かそうという意欲が高まります。管理職の意識と行動が変われば、組織全体で技能活用度が底上げされ、生産性向上にもつながっていきます。

→従業員の意見を受け止めるための「傾聴スキル」に関する記事はこちら


STEP3.PDCAの実践と従業員との対話の継続

技能の活用度を高める取り組みは、一度施策を導入したらそれで終わり、というものではありません。従業員のスキルや職場の状況は常に変化するため、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)のサイクルを回し続ける必要があります。

まず「Plan(計画)」では、従業員との対話や業務プロセスの可視化を通じて、課題を特定します。「Do(実行)」では、配置転換や評価制度の見直し、研修の実施など具体的な施策を試みます。

その後「Check(評価)」で、ストレスチェックの結果や従業員の満足度調査、その他生産性指標等を用いて効果を測定し、最後に「Act(改善)」として不足点を修正し、次の計画につなげます。

PDCAを実践することで、施策の効果を客観的に検証し、継続的に改善できる仕組みが整います。これにより、施策が一時的な対応にとどまらず、従業員の技能活用度を着実に高め、組織の成長に資する取り組みへと発展させることが可能になります。
定期的な面談やグループインタビューを通じて、取り組みが実際に効果を発揮しているかを従業員の声から検証することで、現場の実態に即した改善が可能となります。さらに、従業員自身が職場環境の改善に主体的に関わっているという意識を持つことにもつながり、その結果としてモチベーションや組織への貢献意欲の向上が期待できます。

まとめ

これまでご説明してきた通り、技能活用度の低さは、適切な分析と戦略的なアプローチにより改善することができます。変化の激しい現代のビジネス環境において、従業員の多様な技能と創造性を最大限に活用できる組織こそが、持続的な成長を実現できるのです。

今後は、AI技術の発達や働き方の多様化など、新たな変化に対応しながら技能活用度を向上させる取り組みが必要になるでしょう。人事労務担当者は、これらの変化を機会として捉え、より柔軟で効果的な技能活用促進策を継続的に開発していくことが求められます。本コラムで紹介した取り組みを参考に、各組織の実情に応じた改善策を検討し、従業員がいきいきと活躍できる職場環境の実現を目指していただきたいと思います。

技能活用度の低さによる組織的なリスク

従業員のモチベーション低下やメンタル不調につながり、最終的には組織全体の生産性低下や離職リスクを高める。

技能が活かされない職場の特徴

量が少ない、業務が単調に細分化されている、役割や配置がミスマッチ、評価制度が不透明など、組織的要因が背景にある。

人事労務担当者に求められる対応

①従業員との対話や業務プロセス可視化、組織診断ツールを使って原因を特定


②要員配置の見直し、業務内容や進め方の改善、評価制度・目標管理の見直し、スキル開発やキャリア支援、管理職研修を実施


③PDCAサイクルを回し、施策の効果を検証・改善することで、技能活用度を持続的に高める。従業員の声を反映することで現場に即した改善が可能となり、参画意識や貢献意欲も高まる。


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