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メンタル不調の従業員への対応とは?【中編】休職中・復職時に人事・労務担当者が行うべき実務を解説

メンタル不調の従業員への対応とは?
メンタルヘルス不調(以下、メンタル不調) による休職者への対応は、多くの人事・労務担当者が悩みや不安を抱えやすいテーマの一つです。
「どのような頻度で本人と連絡を取ればよいのか」「復職の判断はどのように進めるべきか」「再発を防ぐために職場として何ができるのか」など、休職中から復職後まで、現場ではさまざまな対応が求められます。

保健師として数多くの従業員支援の現場に携わる中で、筆者自身、「休職に入ってからの対応」が、その後の回復や職場定着に大きく影響するケースを数多く見てきました。休職期間中の関わり方や情報共有の仕方、復職判断の進め方、復職後のフォロー体制など、対応の細かな違いが、従業員本人の安心感や再発防止につながるためです。

前編では、メンタル不調のサインに気づくためのポイントから、休職に至る前段階での初期対応について解説しました。

中編となる本記事では、実際に休職へ移行した後の対応を中心に、休職中の関わり方や復職に向けた準備について、人事・労務担当者の視点から実践的に解説していきます。

後編では、復職後のフォローや再休職予防のポイントについて解説しています。あわせてご覧いただくことで、メンタル不調者対応の一連の流れをより体系的に理解していただけますので、ぜひあわせてご確認ください。

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メンタル不調による休職開始から復職準備まで―時期に応じた人事・労務担当者の対応

休職に入ると、「まずは本人がしっかり療養することが大切」と考え、企業側は距離を置くべきか悩む場面も少なくありません。しかし実際には、休職期間中の人事・労務担当者の関わり方が、その後の復職のしやすさや職場定着に大きく影響します。

一方で、連絡の頻度や内容によっては、本人の負担となり、療養の妨げにつながってしまう場合もあります。そのため、休職者への対応では、「必要な支援」と「本人に負担をかけすぎない関わり方」の両方を意識しながら、慎重に関わっていくことが重要です。

休職開始時の制度説明

休職に入る際には、本人が安心して療養に専念できるよう、休職制度や各種手続きについて丁寧に説明しておくことが重要です。説明が不十分なまま休職に入ってしまうと、「給与はどうなるのか」「いつまで休職できるのか」「復職はどのように進むのか」といった不安を抱えたまま過ごすことになり、本人にとって心理的な負担が大きくなってしまう場合があります。

また、休職期間中の連絡方法についても、あらかじめ本人と相談しておくことが大切です。連絡頻度や手段について認識のずれがあると、企業側は「必要な確認のつもり」でも、本人にとっては負担やプレッシャーとなってしまう場合があります。例えば、「月に1回程度、メールで状況確認を行う」「必要時は本人から連絡してもらう」など、本人の状態にも配慮しながら、無理のない連絡体制を事前に共有しておくと安心です。

休職開始時には、主に以下の事項を説明しておきましょう。


・休職期間の上限(就業規則に定める休職期間)
・休職中の給与・賃金の扱い(無給・一部支給など)
・傷病手当金の申請手続きと受給要件
・社会保険料の支払い方法(休職中も本人負担分の支払いが発生すること)
・復職までのおおまかな流れ(主治医の診断書提出が必要か等)
・休職期間中の連絡窓口(担当者・連絡手段・連絡頻度)


こうした情報を事前に整理して共有しておくことで、本人の不安軽減につながるだけでなく、休職中や復職時の行き違いや混乱を防ぎ、その後の復職支援もスムーズに進めやすくなります。

実際に、保健師として現場で関わる中でも、説明不足や認識のずれによって、さまざまなトラブルが生じるケースを見てきました。例えば、「傷病手当金があるため給与も支給されると思っていた」「復職時期について本人と会社側の認識が異なっていた」「診断書提出の必要性が十分に伝わっていなかった」「上司と人事で対応方針が異なり、本人が混乱してしまった」といったケースです。

こうした行き違いを防ぐためにも、制度や今後の流れについては、口頭だけでなく書面でもあわせて共有しておくことが望ましいでしょう。メンタル不調の状態では、一度に多くの情報を整理したり理解したりすることが難しくなる場合もあるため、後から本人が落ち着いて確認できる形にしておくことが重要です。

保健師一言メモ

休職開始時は、本人への説明だけでなく、人事と直属上司との役割分担を事前に整理しておくことも重要です。例えば、制度説明や手続き対応は人事、日常的な連絡や職場状況の共有は上司が担うなど、役割を明確にしておくことで、対応の抜け漏れや過度な連絡を防ぎやすくなります。

休職中の適切な連絡・状況確認

休職中の対応では、「連絡をしすぎると療養の負担になるのではないか」と悩む人事・労務担当者も少なくありません。そのため、本人への連絡を極力控えようと考えるケースもあります。しかし一方で、全く連絡がない状態が続くと、本人が孤立感を抱いたり、「職場から切り離されてしまった」と感じたりすることもあります。

そのため、休職中は「本人にとって負担にならない範囲で、適度につながりを保つ」という視点が重要です。実際の現場では、月に1〜2回程度、診断書更新のタイミングなどにあわせて、人事担当者からメールや電話で状況確認を行うケースが多く見られます。

ただし、適切な連絡頻度は本人の状態によって異なるため、一律に決めるのではなく、休職開始時に本人の意向も確認しながら、無理のない頻度を相談しておくことが望ましいでしょう。また、休職者本人から連絡や相談があった際には、できる限り速やかに対応することも大切です。

なお、休職中の従業員に対して、業務の引き継ぎ対応や進捗確認、資料作成の依頼など、実質的に業務対応を求める連絡は避けるべきです。こうした対応は、本人の療養を妨げるだけでなく、「休職中にもかかわらず会社から業務を指示された」として、労務管理上のトラブルや安全配慮義務に関する問題につながる可能性や、傷病手当金の不正受給とみなされる危険性があります。

特に、メンタル不調による休職では、会社からの連絡そのものが心理的負担となる場合もあるため、休職中の連絡は、必要な事務手続きや体調確認などにとどめ、内容や頻度にも十分配慮することが重要です。

保健師一言メモ

メンタル不調による休職では、「職場に迷惑をかけているのではないか」と強い罪悪感や焦りを抱えている方も少なくありません。そのため、休職中の連絡では、「業務のことは気にせず、まずは療養を優先してください」「復職を急がず、安心してしっかり休んでください」といったメッセージを丁寧に伝えることが、本人の安心感につながり、結果として回復を支えることにもつながります。

復職に向けた準備の開始

休職期間中の療養が進み、本人から「主治医より、復職に向けた準備を始めてもよいと言われている」といった共有が出始めると、徐々に復職準備の段階へ移行していきます。実際には「復職可」の診断書が正式に提出される前の段階から、本人の回復状況を確認しながら、復職に向けた調整を少しずつ進めていくケースも少なくありません。

特にこの時期は、『また体調を崩すのではないか』という再発への不安を抱えている方も少なくありません。復職を急かすことなく、本人が安心して準備を進められる関わりを意識することが大切です。

復職準備を進める際には、必要に応じて、本人の同意を得たうえで主治医へ勤務状況や復職後の業務内容に関する情報提供を行うこともあります。実際の現場では、主治医が職場環境や業務負荷を十分に把握できていないケースも少なくないため、会社側から情報共有を行うことで、より実態に即した復職支援につながる場合があります。

また、本人が主治医へ状況説明をうまく行えない場合には、本人の希望や同意を前提として、人事担当者や産業保健スタッフが同行受診を行うケースもあります。ただし、あくまで本人支援を目的として行うものであり、復職を急がせるための働きかけとならないよう、十分な配慮が必要です。

さらに、この段階では、必要に応じてリワーク(職場復帰支援プログラム)に関する情報提供を行うことも有効です。生活リズムの安定や通勤訓練、対人コミュニケーションの練習などを通じて、本人が少しずつ「働ける感覚」を取り戻していく支援につながる場合があります。

保健師一言メモ

リワークとは、メンタル不調による休職者が職場復帰を目指すためのリハビリプログラムです。医療機関や支援機関で実施され、規則正しい生活リズムの立て直しに始まり、グループワークやストレス対処法の習得、模擬業務など段階的なプログラムを通じて、働ける状態への回復を図ります。単なる休養とは異なり、実際の仕事に近い環境で訓練を行いながら、休職に至った要因や自身の思考・行動パターンを振り返ることで、復職後の再発防止につなげることができます。

メンタル不調からの復職判断プロセス──誰が・何を・どのように判断するか


復職の判断は、「本人に復職意思がある」「主治医から復職可能との診断が出ている」といった点だけで決定できるものではありません。実際には、本人の回復状況に加え、業務遂行能力や再発リスク、職場で必要となる配慮事項なども含め、複数の関係者が連携しながら多角的に検討していくことが重要です。

特にメンタル不調の復職では、「症状が改善していること」と「安定して就業を継続できること」が必ずしも一致するとは限りません。そのため、復職判断においては、主治医・産業医・会社(人事・労務担当者)がそれぞれの役割や判断基準を共有しながら、丁寧に進めていく必要があります。

主治医・産業医・会社の役割分担を理解する

復職判断を進めるうえでは、主治医・産業医・会社(人事・労務担当者)がそれぞれどのような役割を担っているのかを整理し、あらかじめ本人にも丁寧に説明しておくことが重要です。役割分担が十分に共有されないまま進んでしまうと、「主治医は復職可能と言っているのに、会社が復職を認めてくれない」と本人が不信感を抱いたり、反対に、本人の希望や主治医の診断のみをもとに復職を進めた結果、必要な就業配慮が不十分なまま再休職につながってしまったりするケースもあります。

そのため、復職判断においては、それぞれの立場や判断基準の違いを踏まえながら、関係者間で認識を丁寧にすり合わせ、本人にも納得感を持ってもらいながら進めていくことが大切です。

以下に、復職判断における主治医・産業医・会社(人事・労務担当者)それぞれの主な役割について整理します。

主治医 患者(従業員)の症状や回復状況を踏まえ、医学的観点から治療上の判断を行う。なお、診断書に記載される「復職可能」という意見は、あくまで医学的見地に基づくものであり、職場環境や業務負荷、必要な就業配慮まで十分に考慮されていない場合もある。
産業医 職場環境や業務内容、本人の回復状況を総合的に踏まえ、「就業可能な状態か」「どのような就業配慮が必要か」といった観点から会社へ意見を述べる。また、主治医と会社の情報や認識を整理し、双方をつなぐ橋渡し役も担う。
会社(人事・労務担当者) 会社(人事・労務担当者)は、主治医・産業医の意見を踏まえながら、最終的な復職可否や就業条件を判断する。判断にあたっては、就業規則や社内ルールに基づき、業務内容や安全配慮の観点も含めて総合的に検討する。

なお、産業医がいない事業場では、主治医の診断書のみで判断を進めるのではなく、必要に応じて外部の産業医サービスや産業保健総合支援センター、顧問医などへ相談することも検討しましょう。

保健師一言メモ

産業医と主治医の判断基準の違いは、野球に例えるとイメージしやすいでしょう。主治医は、「バッターボックスに立ち、ボールを打ち返せる状態まで回復しているか」を医学的観点から判断します。つまり、“治療上、復帰できる程度まで症状が改善しているか”を見る立場です。一方、産業医は、「実際の試合の中で、継続してプレーできるか」「無理なくヒットを打ち続けられる状態か」を就業面も含めて判断します。単に一度バットを振れるかではなく、仕事を継続できる体力や集中力、職場環境との適合まで含めて確認していく役割といえます。

復職判断に必要な情報を整理する

復職判断を適切に進めるためには、本人の状態だけでなく、「実際に職場で安定して働き続けられるか」という視点から情報を整理しておくことが重要です。そのため、人事・労務担当者は、産業医面談の前に、本人の回復状況と職場状況の双方について整理したうえで面談に臨むことが求められます。

実際には、症状の安定だけで就業継続が保証されるわけではないため、実務上は主治医の診断書のみで復職可否を判断するのではなく、産業医面談を通じて「継続して働ける状態か」「どのような就業配慮が必要か」を確認することが重要になります。

なお、保健師として現場で関わる中でも「復職前の産業医面談は法律上必須なのですか?」という質問を受けることがあります。復職前面談そのものが法律で一律に義務付けられているわけではありませんが、復職後の再発防止や安全配慮義務の観点から、実務上は非常に重要なプロセスです。特にメンタル不調では、本人の自己判断だけでは回復状況を十分に把握できないケースもあるため、第三者的な専門視点を交えて慎重に確認していくことが大切です。

具体的には、以下のような情報を整理しておくとよいでしょう。

(1)本人の状態に関する情報

・主治医の診断書の内容(現在の症状、復職可否、必要な就業配慮など)
・本人の自覚症状や不安感、復職意欲
・生活リズムの状況(睡眠、食事、日中活動、外出状況など)
・通勤や一定時間の活動に無理なく対応できる状態か

(2)職場側の状況に関する情報

・復帰予定先の業務内容や業務負荷
・残業や対人負荷の状況
・休職前と比較した職場環境の変化
・受け入れ側(上司・チーム)の体制やフォロー状況

(3)これまでの経緯に関する情報

・休職前の不調の背景や業務上の要因
・休職期間中の経過(回復状況に波がなかったか等)
・過去の休職歴や復職歴の有無
・これまで実施した配慮や支援内容

試し出勤制度の活用

復職判断にあたっては、主治医の診断書や産業医面談だけでなく、必要に応じて「試し出勤制度」を活用することも有効です。

試し出勤制度とは?

試し出勤制度とは、正式な復職前に、一定期間職場に通ったり、短時間の軽作業を行ったりしながら、本人の体調や生活リズム、通勤への適応状況などを確認する取り組みです。

 

特にメンタル不調による休職では、診察場面では安定して見えても、実際に職場へ行くことで疲労感や不安が強く出るケースもあります。そのため、試し出勤は「本当に職場で働き続けられる状態か」を確認するための一つの手がかりになります。

ただし、試し出勤はあくまで復職判断のための確認期間であり、通常業務を任せる場ではありません。業務命令として扱うのか、任意参加とするのか、賃金の取り扱い、労災・通勤災害の考え方など、制度設計を曖昧にしたまま実施すると、トラブルにつながる可能性があります。

そのため、試し出勤を行う場合は、就業規則や社内ルールに基づき、目的・期間・内容・実施条件・中止基準を事前に明確にしておくことが重要です。また、本人の同意を得たうえで、主治医や産業医の意見も確認しながら進めるとよいでしょう。

確認するポイントとしては、以下のような項目が挙げられます。


・決まった時間に起床し、通勤できるか
・職場環境に入った際に強い不安や緊張が出ないか
・一定時間、集中して読書や作業をできるか
・疲労の出方や回復状況に大きな波がないか
・上司や同僚とのやり取りに大きな負担がないか


試し出勤は、本人にとっても「復職後の働き方を具体的にイメージする機会」になります。会社側にとっても、復職後に必要な配慮や業務調整を検討する材料となるため、再休職予防の観点からも有効な取り組みといえます。

メンタル不調からの復職判断と並行して進めるべき、復職者の受け入れ準備とは?


復職支援では、「復職可かどうか」を判断することだけでなく、本人が安心して職場へ戻れる環境を整えていくことも重要です。特にメンタル不調による休職では、「復職できる状態か」と「実際に安心して働き続けられるか」は必ずしも一致しません。

そのため実務上は、産業医面談による正式な復職判断を待つだけではなく、復職可能性が見え始めた段階から、本人との面談や職場側の受け入れ準備を並行して進めていくケースが多く見られます。

特にこの時期の本人は、「早く戻らなければ」という焦りと、「また体調を崩すのではないか」という不安の間で揺れていることも少なくありません。人事・労務担当者には、復職を急がせるのではなく、安心して復職準備を進められる環境を整えていく姿勢が求められます。

復職前面談で本人の状態・意向を確認する

復職準備の段階では、人事・労務担当者や産業医、保健師などが本人と面談を行い、現在の体調や生活状況、復職に対する不安、必要な配慮事項などを確認していきます。

この面談で重要なのは、「復職できるかどうかを一方的に評価する場」にしないことです。本人が安心して職場復帰に向けた準備を進められるよう、不安や懸念を整理しながら、復職後の働き方を一緒に確認していく場として位置づけることが大切です。

面談では、主に以下のような事項を確認していきます。


・現在の体調や生活リズムの状況
・復職への意欲と不安・懸念点
・希望する就業条件(勤務時間・業務内容・部署など)
・主治医からの指示や注意事項
・職場への情報共有の範囲(どこまで共有してよいか)


なお、就業条件については、本人の希望をそのまま受け入れるのではなく、会社として対応可能な範囲や職場状況も踏まえながら調整していくことが重要です。本人の意向を丁寧に確認しつつ、会社として実施可能な配慮内容について双方で認識をすり合わせ、合意形成を図りながら進めていきます。

また、面談中に医療的な判断が必要な質問が出た場合、人事担当者がその場で無理に回答する必要はありません。「産業医へ確認します」と整理したうえで、役割を分けて対応することが大切です。特に、復職前面談を産業医面談後に実施する場合には、産業医の意見や就業配慮の内容も踏まえながら、人事・上司・産業保健スタッフが連携して対応していくことが求められます。

上司・受け入れ側との調整を進める

本人との調整と並行して、受け入れ側となる上司や職場とも、復職後の配慮事項や業務内容について整理を進めていきます。ただし、この段階では、まだ正式な復職可判断が出ていないケースもあります。そのため、「復職が決定した前提」で進めるのではなく、「復職に向けた準備段階」として認識をそろえておくことが重要です。

上司や職場と事前に共有・調整しておきたい内容としては、以下のような点が挙げられます。

上司への事前共有・調整事項の例

・復職後の就業制限の内容(残業禁止、特定業務の制限など)
・配慮が必要となる期間の目安
・初日の受け入れ方法(過度な業務説明や声かけを避ける等)
・業務の割り振り方法(負荷の低い業務から段階的に開する)
・本人が相談しやすい雰囲気づくり
・状態変化が見られた際の人事・産業保健スタッフへの連携ルール

また、チームメンバーへの説明内容についても、事前に本人と認識を合わせておくことが大切です。一般的には、「体調を整えるために休職していた」「本日より復帰する」といった必要最小限の共有にとどめ、病名や詳細な事情には触れないケースが多く見られます。

特にメンタル不調では、本人が「どこまで周囲に知られているのか」に強い不安を抱えていることも少なくありません。そのため、「どのように周囲へ伝えるか」「誰まで共有するか」を、事前に本人と丁寧にすり合わせておくことが重要です。

また、メンタル不調からの復職支援では、「原則現職復帰」が基本的な考え方とされています。これは、十分な医学的回復が確認されたうえで、休職前に就いていた職務へ戻ることを前提とする考え方です。

そのため、「復職したらすぐに別部署へ異動させる」「本人が負担を感じる業務をすべて外す」といった対応が、必ずしも望ましいとは限りません。もちろん、本人の状態や職場状況によっては配置転換等を検討するケースもありますが、まずは現職場の中で、就業制限や業務調整を行いながら、段階的に職場適応を支援していくことが重要です。

復職日の決定と本人への通知


復職準備や産業医面談を経て、「復職可能」と判断された場合、次に必要となるのが復職日の調整です。

では、復職日は誰が決定するのでしょうか。

復職日は、本人の希望や主治医の診断書だけで決まるものではありません。実務上は、本人の回復状況に加え、復職後に必要となる就業上の配慮内容や、受け入れ部署の体制・調整状況なども踏まえながら、会社が総合的に判断して決定します。本人の意向を尊重しながらも、職場の受け入れ体制や就業配慮の準備状況も踏まえ、無理のない復職時期を慎重に見極めることが重要です。

復職日が確定したら、本人へ正式に通知を行い、復職後の勤務条件や配慮事項などもあわせて共有したうえで、復職を迎えることになります。

むすび

本記事では、休職開始時の制度説明から、休職中の関わり方、復職準備、復職判断、そして復職日の決定まで、人事・労務担当者が押さえておきたい対応について解説しました。

メンタル不調による休職対応では、「どのように休ませるか」だけでなく、「どのように職場へ戻ってもらうか」という視点が非常に重要です。特に、休職中の関わり方や復職判断、受け入れ準備の丁寧さは、その後の職場定着や再休職予防にも大きく影響します。

保健師として現場で数多くの支援に関わる中でも、復職支援がうまくいく企業ほど、「本人任せ」にせず、人事・上司・産業保健スタッフが連携しながら、段階的かつ丁寧に復職を支えている印象があります。復職は“ゴール”ではなく、再び安定して働き続けるためのスタートでもあります。

続編となる後編では、復職後のフォロー体制や再休職予防のポイントについて実務的な視点から解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

なお、本記事は産業保健師の実務経験をもとに構成しています。個々の事例への対応については、産業医・主治医・社会保険労務士などの専門家に相談のうえご判断ください。

まとめ

  • 休職中の人事・労務担当者の関わり方は、その後の回復や職場定着に大きく影響する

  • 休職開始時には、制度や手続き、連絡方法を丁寧に共有し、認識のずれを防ぐことが重要である

  • 休職中は、本人に負担をかけすぎない範囲で適度につながりを保ちながら支援することが求められる

  • 復職判断では、主治医・産業医・会社それぞれの役割を整理し、多角的に判断する必要がある

  • 試し出勤や復職前面談を通じて、「実際に安定して働ける状態か」を確認しながら、必要な配慮内容を整理していくことが重要である

  • 復職に向けては、本人対応だけでなく、上司や受け入れ部署との事前調整も欠かせない

従業員が定着する職場環境づくりを支援するストレスチェック「STRESCOPE」のご紹介

メンタル不調を未然に防止するためには、職場環境そのものの改善に継続的に取り組むことが重要です。その中でも、ストレスチェックや集団分析を活用した予防的なアプローチは、組織全体の健全性を高めるうえで欠かせません。

当社のストレスチェックサービス【STRESCOPE(ストレスコープ)】は、単なる調査の実施にとどまらず、職場環境改善を実行に移すための支援を行っています。

メソッド1:従業員のセルフケア能力を向上させる実践的なアドバイス

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メンタルヘルス対策の推進や、従業員がいきいきと活躍できる職場づくりにご関心のある人事・労務ご担当者様、これまで実施してきたストレスチェックの結果に課題を感じているご担当者様は、ぜひ一度【STRESCOPE】にお問い合わせください。

執筆者
株式会社こどもみらい いきいき職場支援チーム

株式会社こどもみらい いきいき職場支援チーム

コラムではメンタルヘルス対策や職場環境改善について、学術的なエビデンスに基づく信頼性の高い情報を、読者の方の組織に活かせる形でお伝えすることを目指して執筆しています。

監修者
株式会社こどもみらい 志村 哲祥

志村 哲祥

医師・医学博士・精神保健指定医・日本医師会認定産業医・日本睡眠学会専門医
東京医科大学 精神医学分野 産業精神医学プロジェクト統括 / 睡眠学講座教授

株式会社こどもみらい取締役
順天堂大学、菅野病院、東京医科大学精神医学分野、スタンフォード大学等を経て現職。組織改善と従業員のセルフケア能力の向上に着目したストレスチェック「STRESCOPE(ストレスコープ)」を開発。

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