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会社の安全配慮義務とは?違反事例やメンタルヘルスとの関連性も解説

早速ですが、皆さんは「安全配慮義務」という言葉をご存知でしょうか。
企業の人事労務部門で働かれている方は耳にしたことがあるかもしれませんが、言葉の意味はなんとなく知っていても、いまいちピンと来ない、という方も多いのではないでしょうか。
今回ですが「会社の安全配慮義務とは?違反事例やメンタルヘルスとの関連性も解説」ということで、安全配慮義務を果たすための基本的な2つの考え方についてもご紹介させて頂きます。

企業が「安全配慮義務」を果たすことの重要性

安全配慮義務を果たすことは、実は企業活動において最も重要な側面のひとつと言っても過言ではありません。
安全配慮とは、使用者(=会社)が労働者(=従業員)に対して安全に・健康に働けるようにするために行う配慮のことです。しかし安全配慮の概念はとても広く、「AのときにはBを配慮する」といった、一対一対応で答えが出るようなものだけではありません。特に従業員への対応はそれぞれのケースに個別性があり、一律に対応するだけでは不十分な場合もあります。
そこで大切なことは、安全配慮義務を果たすための基本的な考え方を理解し、個別のケースに応じて対応することです。

・安全配慮義務って何?なぜ安全配慮義務を果たさなければならないの?
・もし安全配慮義務に違反した場合はどのようなリスクがあるの?
・安全配慮義務を果たすために何に気を付けたら良い?

このような疑問をお持ちのご担当者のために、本記事では企業が果たすべき安全配慮義務について、基本的な2つの考え方をもとにご説明します。

安全配慮義務とは何か

安全配慮義務は、労働契約法第5条に定められているもので、

”使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする”

と記されています。また労働契約法上は「身体等の安全」と記されていますが、労働基準局長名で発された通達では、

”「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものであること。”

と、こころの健康=メンタルヘルスにも言及されています。
例えば、会社が従業員に対しひと月あたり100時間の時間外労働を指示し、改善策も打たずに状況を看過していたとしましょう。そこで従業員がうつ病又は身体的な病気を発症した場合は、労働災害として認定される可能性が高くなります。
安全配慮義務は、このような労働災害を未然に防止するための安全衛生管理上の義務といえます。

安全配慮義務と自己保健義務

会社と従業員は労働契約で結ばれています。労働契約において、会社は従業員に対しての安全配慮義務がありますが、一方では従業員にも、会社に対して求められた労働を提供する義務があります。
そこで、会社に定められた職務を提供できるような心身の健康状態を保持するための、自己保健義務というものが発生しています。従業員も会社に求められた労務を提供するために、自身の健康管理や安全に業務を遂行するために努力をしなければなりません。
例えば法律で定められている一年に一回の定期健康診断を受けることも、この自己保健義務にあたります。
会社と従業員間の労働契約は、安全配慮義務と自己保健義務の双方で成り立っているといえるでしょう。

なぜ安全配慮義務を果たすことが重要なのか

もしも会社が十分に安全配慮義務を果たせずに、安全配慮義務違反であると認められた場合は、会社にとってどのようなリスクがあるのでしょうか。

会社の安全配慮義務違反とリスク

万が一何か事故が起こり、裁判等で会社の安全配慮義務違反が認められた場合は、会社に損害賠償の支払いが命じられる可能性があります。さらに重大なケースでは、管理者や代表者の刑事責任が問われたり、業務停止停止命令などの行政上の処分を受けたりする等、会社の事業継続にまで影響するような処分がくだることもあるのです。
また、現代ではインターネット上の評判等を通じて、会社の信用・信頼に大きく影響する可能性も否定できません。

安全配慮義務とメンタルヘルスの関連性

昨今、メンタルヘルス不調により会社を休業する従業員の割合は増加傾向にあり、”メンタル事由で連続1か月以上休業した労働者がいる事業所の割合は10.6%である”という調査結果が出ています。
メンタル不調のなかには職場環境が原因で病気を発生するケースもあり、一定の基準のもとに仕事が原因による発症であると判断された場合は、労災として認定されることがあります。
厚生労働省の資料によると、精神障害の労災請求件数は近年増加の傾向にあり、支給決定件数(=労災と認定された件数)も徐々に増えていることが分かります。

厚生労働省資料より

安全配慮義務の考え方・姿勢を理解することが大事

昨今増加傾向にある従業員のメンタル不調に対しても、安全配慮義務の考え方・姿勢を理解して対応することで、労災の予防にもつながります。労災を防ぎ、その先にある従業員の安全と健康を守るためにも、まずは安全配慮義務の基本的な考え方を、事例を交えながら見ていきましょう。

安全配慮義務を果たす上での基本的な2つの考え方

冒頭でお伝えした通り、安全配慮義務については「AのときにはBを配慮すればよい」といった、一対一で答えが出るようなものだけではありません。そのため、「こうすれば100%安心だ」という答えがないのです。
それでは、会社として何に気を付ければよいのでしょうか。安全配慮義務を果たす上で基本的な考え方を理解するためには、どのような場合に「安全配慮義務違反」が認められるのかを理解すると分かりやすいでしょう。

安全配慮義務違反とは?

安全配慮義務違反は、従業員が仕事の過程で生命・身体及び健康が害された場合、会社に『予見可能性』と『結果回避可能性』の両方があったときに認められるとされてます。

それでは、『予見可能性』と『結果回避可能性』とは何を示しているのでしょうか。
実際に起こり得る具体例も入れてご説明していますので、実際にご自身だったらどのように対応するか、想像しながらお読みください。

安全配慮義務違反事例/予見可能性

予見可能性とは使用者、つまり会社が従業員の心身の安全を保持できない可能性を使用者が予想できたかどうかということです。

例えば、次の事象は予見可能性があるといえるでしょうか。

質問

① 職場で明らかなハラスメント行為がある
② ひと月あたりの時間外労働が80時間を超えるような労働が恒常的に行われている
③ 通常であれば心身の病気が発生しない程度の業務に就いていたが、突発的に心身の病気を発症した

答え

答えは、①と②に予見可能性があると認められます。
①と②は、その状況を放置していれば従業員の心身の安全が害される可能性があると予想できますが、③については、通常であれば心身の病気が発生しない程度の業務に就いている事から、会社としては従業員の心身の安全が害される危険性を想像できないとして、予見可能性は無かったと判断されるため、これだけでは安全配慮義務違反とはなりません。

安全配慮義務違反事例/結果回避可能性

結果回避可能性とは、会社が適切な行動をとれば回避できた可能性があることを示しています。
先ほどの①〜③の例をもとに一歩踏み込んで、結果回避可能性についても確認してみます。次の④〜⑥の事例では結果回避可能性があるといえるでしょうか。

質問

④ 職場で明らかなハラスメント行為があったが、相談窓口を設置しておらず対策もとらなかった。結果、ハラスメントを受けた社員がメンタル不調になった。

⑤ひと月あたりの時間外労働が80時間を超えるような長時間労働が恒常的に行われていたため、従業員に産業医面談を受けさせた。その後対象の従業員がうつ病を発症し、うつ病は長時間労働によるものだとの訴えがあった。

⑥通常であれば心身の病気が発生しない程度の業務に就いていた従業員がメンタル不調を訴えてきたが、「とりあえず今は頑張って欲しい」と伝え、特段対応はしなかった。その後対象の従業員より適応障害だと診断されたと申し出があった。

答え

答えは、④〜⑥の選択肢全てに、結果回避可能性があると言えます。

④は会社がハラスメントの相談窓口を設置したり、適切な対処を行っていれば、メンタル不調を発症しなかった可能性があります。相談窓口の設置や、メンタル不調者を発生させないための職場環境づくりも安全配慮義務を果たすための重要な要素のひとつです。

⑤については対象者に産業医面談を受けさせたため、一見問題がなさそうに思えますが、ただ産業医面談を受けさせただけでは十分とはいえず、産業医の意見を聴取した上で仕事の負荷を軽減したり等、会社が状況改善のために最善を尽くしたかどうかが
問われます。

⑥については業務上は特に問題がなさそうに見えますが、従業員からメンタル不調の申し出があった時点で、そのまま放置すれば病状が悪化することが予測できたにもかかわらず、適切な対処をせずに放置したとみなされてしまう可能性があります。

以上のことから、

・会社が従業員の心身の健康を害するリスクに気付けたか
・健康被害のリスクに気付いたら、リスクを回避して、従業員の心身の健康保全のために最善を尽くしたか

この2つの視点が安全配慮義務を果たす上で、大切なポイントになります。

【実例】メンタルヘルス相談事例と安全配慮義務

従業員からのメンタルヘルス相談で最も多いタイミングは、休業に入る時と、職場復帰の時ではないでしょうか。特に休業に入る前のタイミングは、病気を発症した直後で従業員が苦しんでいる事も多く、対応に配慮を要します。ここでは休業に入る前に起こり得る事例をもとに、会社の安全配慮義務を果たすための適切な対応方法について考えてみましょう。

事例

従業員からメンタル不調で要休業と記された診断書が提出された。従業員からは周囲に迷惑がかかるからといった理由で、キリの良いところまで勤務を続けたいとの申し出があった。

質問

会社の安全配慮義務を果たすための予見可能性、結果回避可能性に着目して、会社としての適切な対応について考えてみましょう。

答え

【予見可能性】
専門医による要休業の診断が出ているため、本来であれば心身の状態が職務を遂行できる状態にない事が分かっています。それにもかかわらず、このまま本人の申し出の通りに働かせていれば、病状が悪化することが予想されます。

【結果回避可能性】
会社は人員の調整をはじめとする職場環境の調整等をしたり、本人に助言を行うことで働き続けることによる病状の悪化という結果を回避することができます。

上記を受けて、会社としての適切な対応とはどのようなものになるでしょうか。
まず本人の思いを受け止めた上で、本人の回復のためには速やかに休業すべきであることを説明し、業務の引継ぎは最小限とした上で、速やかに療養できるよう調整することが適切な対応の一例であると言えるでしょう。

会社と従業員を守るための安全配慮義務

安全配慮義務を果たすことは、大切な従業員を守ることはもちろんのこと、会社を守るためにも重要だということが、お分かりいただけたかと思います。

ストレスチェックで会社や従業員に潜んでいるリスクを把握

安全配慮義務を果たすための基本的な考え方として、予見可能性と結果回避可能性について学んできましたが、会社や従業員に潜んでいるリスクを把握することは、人事労務部門の担当者だけでは難しい一面もあります。
従業員の健康状態を把握するための契機として、身体的な健康状態は年に一回の定期健康診断が、こころの健康状態については年に一回のストレスチェックがあります。

ストレスチェックは、実施後に集団分析をすることによって、会社に潜んでいるリスクが見えてくることもあります。例えば明らかな高ストレス職場があった場合は、職場のライン長やメンバーに対するヒヤリングを行い、高ストレスの要因を特定することで、改善に繋げることができます。つまりストレスチェックの実施を通して、予見可能性と結果回避可能性といった、安全配慮義務を果たす上で重要な2つの要素の一部を遂行することに繋がるのです。

まとめ

ストレスチェックサービス『STRESCOPE(ストレスコープ)』では、従業員への皆さまへのセルフケアアドバイスはもちろん、医療統計を用いた独自の集団分析を行うことで、会社/組織の課題を可視化できるサービスを提供しています。さらに、将来のメンタル不調発生予防のための医師からのアドバイスが受けられる点、将来の離職リスクの予測を明らかにできる点も特徴です。
職場のストレス改善のために優先して取り組むべきポイントも明確になりますので、ご関心のある方はぜひお問い合わせください

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